日立とトーエイが手を組んで再生プラスチックの未来を切り開く
2023年11月、株式会社日立製作所(以下、日立)とトーエイ株式会社(以下、トーエイ)は、再生材マーケットプレイスを通じて、AI技術を活用した再生プラスチックの配合支援に関する実証を開始します。この取り組みは、気候変動や生物多様性の損失などが深刻化する中で進められるもので、持続可能な社会を実現するための重要なステップとなるでしょう。
国際的な社会課題への対応
さまざまな環境問題が顕在化する中、日本国内でも2022年に施行されたプラスチック資源循環促進法に基づき、再生材の利用が急務となっています。しかし、再生プラスチックはバージン材と比較して機能的な性能や品質にばらつきがあり、そのため製品への実用化が進まないという課題があります。また、再生プラスチックの開発には専門知識が必要ですが、社内にそのような技術者がいない企業が多いのが現状です。
AI技術を駆使した再生材マーケットプレイスの構築
日立は、コネクティブインダストリーズセクターと連携し、デジタル技術を活用して再生材マーケットプレイスの開発を進めています。このプラットフォームは、ユーザーのニーズに応じた品質分析や配合比率の提案を可能にする機能を備えています。トーエイは、リサイクル業界での豊富な経験をもとに、さまざまなプラスチック処理業務を展開しており、その知見をこのプロジェクトに活かしています。
実証内容の詳細
本実証プロジェクトでは、まずトーエイの家電リサイクル事業から回収したポリプロピレン(PP)材料を使用して、品質を定量評価します。その後、AI技術を活用して最適な配合レシピを提案し、実証を進める予定です。具体的には、まずPP材料の品質を数値化し、次に機械学習モデルを使って配合レシピを検証します。このプロセスが成功すれば、材料開発がより効率的に行えるようになるでしょう。
循環型社会の実現を目指す
2026年度には、再生材マーケットプレイス上にデータが登録され、再生プラスチックを通じた環境保護事業の推進が期待されています。日立とトーエイは、AI技術を駆使して収集したデータを新たな価値に変換し、循環型社会の実現に貢献したいと考えています。さらに、このプロジェクトは、2025年の高機能素材Weekでプロトタイプを展示予定であり、広く公共に成果を知らせる機会ともなります。
終わりに
日立とトーエイの共同プロジェクトは、環境問題解決への重要な取り組みとして、再生プラスチックの利用を促進し、持続可能な社会の形成に寄与することが期待されています。これからの進展に注目しながら、私たちも一人ひとりが循環型社会への貢献を意識していきたいものです。