富士通とMoBagelが開発したAIによる予測高速化ソリューション
2023年12月、富士通株式会社(以下、富士通)とアメリカのAIスタートアップMoBagel Inc.(以下、MoBagel)は、AIを用いたビジネスプロセスの変革を加速させることを目的とした戦略的パートナーシップを結びました。この提携により、MoBagelのAutoMLプラットフォーム「Decanter AI」に、富士通のAIサービス「Fujitsu Kozuchi」から技術が提供され、2024年9月5日からグローバルに新しいAI予測高速化ソリューションが提供されます。
AI技術の背景と目的
今回のコラボレーションの背景には、企業がAI技術を導入する際のコストや時間の課題があります。そこで、富士通は「Fujitsu Kozuchi AutoML」の自動化技術や説明可能なAI技術「Fujitsu Kozuchi XAI」の一部をMoBagelに提供し、効率的かつ正確にAIモデルを構築するための高度なソリューションを開発しました。
具体的な機能の紹介
「Decanter AI」に搭載されたAI予測高速化ソリューションは以下の3つの機能から構成されています。
1.
データ検証と異常スコアリング:入力データの整合性を確保し、分析に使うデータの質を高めるために、データは3段階でランク付けされます。
2.
アルゴリズム推奨システム:最適な機械学習モデルを提案し、モデリングの精度を向上させることに貢献します。
3.
説明可能なAIのための特徴分析:重要な特徴を特定し、その関連性を可視化することでビジネスに活用できる知見を提供します。
例えば、自動車保険の加入者を予測するデモでは、過去のデータを用いて異常値を排除し、その後アルゴリズム推奨システムが最適なモデルとしてランダムフォレストを提示します。特徴分析では、特に重要なデータの特徴を提示することにより、マーケティング戦略に役立てることが可能です。
AIソリューションによる利点
新しいAIソリューションの導入により、機械学習モデルの処理速度が4倍に高速化され、分析においても高い精度が維持できます。「Wide Learning™」技術を用いることで、データ間の関係性を最適化し、実用的な提案を自然言語で提供します。これにより、企業は市場予測を精度高く実施できるようになります。
企業のコメント
富士通の技術戦略本部長、岡田英人氏は「弊社はエンタープライズ向けAI市場をリードしており、MoBagelとのコラボレーションにより迅速なAI導入を支援します」とコメント。また、MoBagelのCEO、Adms Chung氏は「このパートナーシップを通じて、企業は信頼性が高く、効果的なAIソリューションを迅速に生み出せるようになります」と語りました。
今後の展開
MoBagelは、今回のソリューションを用いて金融犯罪の防止に向けた実証実験をDeloitteとの協力で実施する予定です。このように、両社は今後もさまざまな業界でのビジネスプロセスの変革を支援していきます。
結論
AI技術を活用した新たなソリューションの登場は、企業の業務効率化を大きく進める可能性を秘めています。今後どのような展開が待っているのか、注目が集まります。