摂南大学と鹿児島ユナイテッドFCの共同研究
摂南大学(久保康之学長)と株式会社プリメディカ(富永朋代表取締役社長兼CEO)が、明治安田J3リーグに所属する鹿児島ユナイテッドFCの「腸内環境コンディショニングパートナー」に就任し、腸内細菌叢の動態と運動パフォーマンスの関係を探る共同研究を開始しました。この取り組みは、腸内環境と選手のパフォーマンス向上に向けた新たな試みとして大きな期待が寄せられています。
研究の背景
近年、腸内細菌叢が運動能力に与える影響が注目されています。特に、持久力向上や運動ストレスの緩和など、腸内細菌はアスリートのパフォーマンスに寄与する可能性が示唆されています。一方、プロアスリートの腸内環境に関するデータはまだ少なく、特にパフォーマンスに対する影響を理解することが求められています。そのため、本プロジェクトでは、鹿児島ユナイテッドFCの実際の選手データを基に腸内細菌の変化と競技結果との関係を縦断的に調査します。
具体的な研究内容
研究は、シーズンインからシーズンアウトまでの期間において、計4回腸内環境を検査することから始まります。検査には、腸内フローラ検査サービス「Flora Scan®」を使用し、選手のコンディションを夏場の厳しい時期も含めて追跡します。相関関係を分析するために、血液検査も実施され、腸内環境とパフォーマンス指標を関連付ける予定です。
さらに、腸内環境が悪化している選手には個別の食事指導を行うことで、パフォーマンスの向上を図ります。例えば、2025年に完成予定の鹿児島ユナイテッドクラブハウスでは、選手の腸内環境改善を重視した食事メニューの提供が予定されています。
研究者と関係者の声
鹿児島ユナイテッドFCのクラブCEO、徳重剛氏は「腸活がプロスポーツの中でも注目されていますが、腸内細菌についての専門知識がまだ不足している状況です。この研究を通じて選手のパフォーマンス向上に寄与したい」と語ります。また、摂南大学の井上亮教授も「プロ選手を対象とした腸内細菌叢研究が少ない中で、我々のアプローチは重要な意味を持つ」と期待を寄せています。
今後の展望
この研究が進むことで、腸内環境と運動能力の関係性が明らかになり、より効果的なコンディショニング方法が確立されることが期待されています。また、解析結果は選手個々に対する食事指導に活用され、より高いパフォーマンスを引き出す助けとなります。さらに、研究成果を一般の人々にも共有し、健康管理に応用することも視野に入れており、広く腸内環境改善に取り組むきっかけを提供したいとしています。
講じられる腸内フローラ検査サービス「Flora Scan®」
Flora Scanは、京都府立医科大学、摂南大学、プリメディカの三者の共同研究によって開発された腸内フローラ検査サービスです。特許を取得したシステムを用いて、日本人特有の腸内フローラを分類し、疾患との関連性を評価します。2022年には、大阪府枚方市で全国初のふるさと納税返礼品として採用されるなど、その重要性が認識されています。