繊維リサイクルの粋を追求した「三河軍手」
愛知県三河地方で誕生した「三河軍手」は、従来の使い捨てイメージを一新する新しい形の作業用手袋です。2025年の中川政七商店「地産地匠アワード」で優秀賞を受賞したこの製品は、繊維リサイクルの重要性を再認識させるものとなっています。
産業の背景とリサイクルの意義
三河地方はかつて繊維産業の中心地として栄え、特に繊維リサイクルにおいては国内最大の産地でした。しかし、1990年以降、関連企業の廃業が進み、地域の産業は大きな危機に瀕しています。その主な原因は、繊維リサイクルから生み出される素材の価値が十分に理解されていないことです。石川メリヤスは、この地場産業の復活を目指し、「三河軍手」を開発しました。
新素材「特紡糸」の魅力
「特紡糸」とは、市場に出せない「B格」として扱われる綿を糸に紡いだ素材です。この糸の特性は、ムラ感にあります。均一な大量生産では表現できない、独特で温かみのある風合いを持っています。この素材を活かし、着心地やデザイン性を追求したのが「三河軍手」です。
デザインへのこだわり
「三河軍手」のデザインを手がけたのは、三河地方出身のデザイナー、久保田千絵さんです。彼女が意識したポイントは二つあります。まず一つ目は、生地にポリウレタンを編み込むことでフィット感と保温性を向上させた点。二つ目は、7色のカラーネップ糸を使用することで、選ぶ楽しさとアナログ感を演出したところです。これにより、日常使いの実用品であるだけでなく、贈り物としても価値を持つ商品に仕上がっています。
地元産業への貢献
石川メリヤスは、地域のリサイクル産業を持続可能なものにするため、地場産業の価値を高める商品作りを進めています。「三河軍手」はその象徴であり、地域の魅力や可能性を再発見させるプロダクトです。このような努力が評価され、「地産地匠アワード2025」での受賞に結びつきました。
アワードの概要
中川政七商店の「地産地匠アワード」は、地域に根ざしたメーカーとデザイナーが新たな「暮らしの道具」を生み出すことを目的とした賞です。2025年には69件のエントリーから、最終的に11点が選ばれ、優秀賞に輝いた「三河軍手」は、その実用性とデザイン性が高く評価されました。
販売情報と価格
「三河軍手」は本日から販売開始となります。サイズはL、M、Sの3種類で、全7色が展開されています。価格は各サイズともに1,100円(税込)です。公式オンラインショップや中川政七商店各店舗で購入可能です。
まとめ
「三河軍手」は、リサイクル繊維とデザインの融合から誕生した新たな作業用手袋です。地域産業の復興を目指す石川メリヤスの取り組みが詰まったこの商品は、実用性だけでなくファッション性も兼ね備えており、多くの人々に愛されることが期待されています。