京都コンサートホールの30周年記念音楽アンソロジー『超楽器』発売

音楽の世界を探求する『超楽器』

2025年に開館30周年を迎える京都コンサートホールで、特別な音楽アンソロジー『超楽器』が刊行されることが発表されました。この本は、哲学者であり同ホールの館長でもある鷲田清一氏とプロデューサーの高野裕子氏が共に編纂したもので、音楽の初源と極限に迫るエッセイ集として、多彩な著者による貴重な視点が展開されます。

豪華な執筆陣

本書には、著名な執筆者たちが集結し、それぞれの個人的な音楽経験を元に独自の音楽論を発表しています。人類学者の山極壽一氏や、作家の堀江敏幸氏、指揮者の佐渡裕氏など、多様な分野から選りすぐりのメンバーが参加しており、音楽が私たちの生活に与える影響や、その根本的な意味を深く考察しています。各執筆者のエッセイは、個々の感性に満ち溢れながらも、全体を通じて音楽の本質を探る内容となっています。

超楽器という概念

本書の中心テーマは、「ホールもひとつの楽器である」という思想です。このアイデアは、京都コンサートホールの設計者である磯崎新氏の言葉に由来しており、ホール自体が音楽体験を形成する重要な要素であることを示唆しています。エッセイを通じて、音楽がいかにして私たちの感情や思考を動かすのか、その深淵な部分に迫ります。

魅力的なデザイン

また、本書の判型は音楽にふさわしい黄金比を基にした特別なサイズで、見た目にも魅力的です。表紙は銀色の紙にレインボーの加工が施され、きらめく外観が読む人を惹きつけます。内面のデザインもゆったりとしており、視覚的にも心地よい読み物となっています。

内容紹介

本書は、プロローグから始まり、三つの部に分かれています。第Ⅰ部は「律動」、第Ⅱ部は「旋律」、第Ⅲ部は「交響」と名付けられ、それぞれのテーマに沿ったエッセイが展開されます。各部の間には間奏曲もあり、磯崎新氏の建築における音楽空間についての考察も含まれています。特に京都の地に根ざした木琴の音色や、地域の音楽文化も本書の魅力の一部です。