dotDが「ウラノス・エコシステム」で日本産業技術大賞に輝く
株式会社dotDが、モビリティ業界の未来を切り開く革新的なデータ連携サービスで、「第54回 日本産業技術大賞」の最高位である内閣総理大臣賞を受賞しました。この栄冠は、同社が自動車および蓄電池業界のサプライチェーン構成企業間で進めている「ウラノス・エコシステム」に基づく取り組みの結果といえます。
このエコシステムは、経済産業省の主導で進められている産業データ連携の枠組みであり、特に自動車・蓄電池分野に特化したユースケースとして展開されています。dotDは、NTTデータやゼロボード、ABtCなどと協同し、安心・安全なデータ連携を実現するためのシステムを構築しました。
受賞に際し、日刊工業新聞社が主催するこの技術賞には、主要産業団体の推薦を経て、専門家による厳正な審査をクリアしたことが大きなポイントです。審査委員会を務めた東京大学名誉教授の松本洋一郎氏らは、このシステムが業界全体の環境負荷を削減する可能性を持っていると高く評価しました。
「ウラノス・エコシステム」の仕組み
このデータ連携サービスの最大の特徴は、業界全体で情報をシェアする「データ流通システム」と、各企業の機密情報を安全に守る「トレーサビリティ管理システム」を組み合わせている点です。これにより、各企業はデータを共有しつつも、機密性のある情報を守ることが可能となります。
日本は、2023年8月に欧州電池規則が発効されたことを受け、蓄電池のライフサイクル全体でのCO₂排出量や資源リサイクル率の開示を求めています。それに対する迅速な対応として、dotDの取り組みが実を結び、社会実装が進んでいます。この課題は、企業が単独で向き合うには非常に大きなものですが、共同での取り組みを通じて解決が図られています。
未来を見据えた取り組み
2024年5月からはNTTデータが「バッテリートレーサビリティプラットフォーム」を提供開始し、サプライチェーン全体でCO₂排出量の集計ができる基盤を整えます。また、2025年3月には自動車・蓄電池トレーサビリティ推進センターが、ゼロボードやdotDのソリューションがウラノス・エコシステムと接続できることを正式に認証しました。
dotDが開発した「CFP Calculator」は、バッテリーの製造から廃棄・リサイクルに至るまでのCarbon Footprint(CFP)を算出するツールで、企業の脱炭素経営を支援します。さらに、法制度への適合、業務プロセスの改善、ステークホルダーとの調整などに対するコンサルティングサービスも提供しています。このような全方位的なアプローチが、dotDの環境負荷削減への強力な支援を実現しています。
最後に、dotDはこの受賞を契機に、さらなる官民連携の推進を図り、より持続可能な未来に向けた革新的なソリューションの提供を続けていくことを約束しました。データの力を駆使し、自動車や蓄電池業界における環境負荷の可視化と削減活動を加速させることで、私たちの社会のあり方を変えていくことが期待されます。