TIS株式会社とタッチストーン・キャピタルによる新たな実証実験
TIS株式会社(以下、TIS)とタッチストーン・キャピタル・マネージメント(以下、タッチストーン)は、2025年6月2日より、ブロックチェーン技術を活用したセキュリティ・トークン(ST)の譲渡に関する実証実験を開始すると発表しました。この取り組みは、セキュリティ・トークンの移転における第三者対抗要件をデジタル化し、事務手続きの効率化を図るものです。
実証実験の背景
日本の収益不動産市場はおよそ290兆円規模という巨大な市場です。特に、不動産の証券化はJ-REIT(上場不動産投資信託)や私募ファンドなどが主流ですが、これに対してセキュリティ・トークンは不動産を特定して少額から投資できるというメリットがあります。これにより、特定のプロジェクトへの投資が可能になり、安定した運用が期待できるため、今後の展開においてさらなる成長が見込まれています。
しかし、現在のST譲渡には、アナログな事務手続きがネックとなっているのが現状です。たとえば、債権譲渡に関連する内容証明郵便の送付や確定日付証書の取得といったプロセスが手間を増やしていました。こうした課題を解決するために、TISは「STLINK」というシステムを提供し、タッチストーンが実際の譲渡を担う形で共同で実証実験を行うことになりました。
実証実験の進行
この実証実験では、特に以下の2点を検証します。
1. ブロックチェーンを活用して、債権譲渡の日時や内容を確認するプロセスが簡素化されること。
2. アナログな手続きからデジタルへと移行することで、手間を省き迅速な処理が可能になること。
6月から9月までの期間中に、被験者となる債権譲渡人、譲受人、及び債務者向けにSTLINKを使用した模擬実験を行います。
デジタル化のメリット
この取り組みにより期待されるメリットは、業務のスピードアップだけでなく、新たな金融商品であるSTに対する理解促進、市場全体の活性化にも寄与するでしょう。すなわち、STによる資金調達の選択肢が広がり、個人や機関投資家が新たな収益機会を得られるようになるのです。
さらに、TISは「STLINK」を通じて、不動産業界やプロスポーツ業界などの様々な分野と連携し、ユースケースを拡大しています。タッチストーンも、次世代の資産運用としてSTの拡充に乗り出しており、今後、個人と機関の両方に対して新たな投資機会の提供を目指します。
今後の展望
これらの検証結果を基に、2025年中に第三者対抗要件をデジタル化した「STLINK」の本格運用を予定しています。TISとタッチストーンは今後も連携を強め、収益不動産のST化を推進しつつ、より多くの投資家にセキュリティ・トークンの利用を促していく方針です。
参考リンク:
STLINK公式サイト
結び
TISとタッチストーンの連携は、ブロックチェーン技術がもたらす新たな可能性の一端を示すものであり、今後の金融業界における変革を期待させるものです。両社の成果に注目しつつ、新たな投資のスタイルに触れる機会を楽しみに待つことができそうです。