髙松建設が新たな木造建築技術を発表
髙松建設株式会社は、東京都港区において2方向ラーメン構造を用いた木造建築の新プロジェクトを発表しました。この新しい構造技術は、従来の木造建築では実現が難しかった最大スパン10mを可能にします。これにより、広々とした室内空間が実現され、設計の自由度が大きく向上します。
1. 伝統的な木造建築の課題
一般的な木造建築では、柱のスパンは1.8mから3.6mと制限され、耐力壁や筋交いが必要でした。これにより、空間の広がりや窓の配置に大きな制約がありました。しかし、髙松建設が開発した新しい木造2方向ラーメン構造は、このような制約を克服するものです。
この構造では、耐力壁や筋交いが不要となり、広い空間を確保できるため、事務所などにも活用しやすい設計が可能になります。また、開口部の大きさや位置の自由度も増すため、より柔軟な空間設計が期待されています。
2. 施工の効率化
髙松建設は、今回のプロジェクトにおいて新たな接合工法「タカマツ・ウッド・クイックジョイント工法」を導入しました。この工法は、工場であらかじめ鋼棒や接着剤で固定した部材を現場に運び、ボルトを締結するだけで施工が完了します。これにより、従来の方法に比べて施工にかかる時間や労力が大幅に軽減され、工期の短縮が見込まれています。
3. 学術的な検証と信頼性
新しい接合工法の信頼性を確保するために、髙松建設は九州大学と協力し、実大木造2方向ラーメン架構試験体の加力実験を実施しました。この実験により、安定した荷重-変形関係が確認され、構造設計が信頼できるものであることを証明しました。この評価は、一般社団法人日本建築センターから得られた個別評定に基づいています。
4. 持続可能な建築への貢献
企業価値を高めるためには、社会や環境への貢献が重要視されています。髙松建設は、SDGsへの対応を積極的に進めており、木構造の利用はその一環です。森林資源を活用し、持続可能な建築を実現することが企業価値向上につながると考えています。
今後、髙松建設は2方向ラーメン構造の知見をもとに、さらなる木構造建築の研究を進めていき、地上10階建てを目指した新しい木造中高層建築の実現を目指してまいります。