小森はるか氏が特別賞を受賞、恵比寿映像祭2025
東京都で開催される恵比寿映像祭2025において、特別賞を受賞したのは小森はるか氏です。本イベントでは、令和7年1月31日から3月23日まで東京都写真美術館にて小森氏を含む4名のファイナリストによる新作が展示されます。
小森氏は受賞を受けて、「特別賞に選ばれて感謝しています」と述べ、自らの作品がファイナリストとして選ばれたことに対する喜びを表現しました。彼女は、撮影を開始してからの10年間で、外部に作品を発表することへの不安が増していたと振り返り、ファイナリストに選ばれたことで勇気を与えられたと語っています。特に、同じくファイナリストだった小田香氏、永田康祐氏、牧原依里氏との出会いが刺激的であり、彼らとの関係性を通じて新たな「記録」が生まれ続けることを学んだと語りました。
審査の視点
2025年2月14日に開催された審査会では、4名のファイナリストが自身の作品コンセプトや制作過程について説明を行いました。審査委員たちは、全ての作品においてリスクを恐れずに新しい挑戦が感じられたと評価し、それぞれのアーティストが自身の枠組みを超えようとする姿勢が印象的だったと述べています。エネルギーに満ちた作品はそれぞれ非常に誠実であり、期待を上回る出来栄えでした。
特別賞に選ばれた小森氏の作品《春、阿賀の岸辺にて》は、ドキュメンタリー映画《阿賀に生きる》(1992年、佐藤真監督)の発起人である旗野秀人氏との関わりを通じて、土地の記憶を継承する試みとして高く評価されました。この作品は一見シンプルな形式を持ちながらも、世代や時代を結びつける多層的なアプローチが特徴です。
小森はるかの軌跡
小森はるか氏は1989年に静岡県に生まれ、東京藝術大学大学院美術研究科を修了した後、東日本大震災を受けた経験をきっかけに映像作品制作に取り組むようになりました。彼女は2012年に岩手県陸前高田市に拠点を移し、人々の語りや暮らし、風景を記録しています。この10年間には《息の跡》(2016年)、《空に聞く》(2018年)、《二重のまち/交代地のうたを編む》(2019年)など、さまざまな作品を発表しています。
コミッション・プロジェクトとは
恵比寿映像祭における「コミッション・プロジェクト」は、新進アーティストに制作を委託する取り組みで、映像の本質や新しい視点を探求するものです。このプロジェクトを通して、国内外の文化施設との連携が生まれ、アーティストの創造的活動をサポートすることが期待されています。
このように、恵比寿映像祭2025はアーティストにとっての挑戦の場となっており、その成果は広く発信されることが望まれています。本祭典は、アートに関心のある方々にとって、ぜひ訪れるべき催しです。彼女の作品や彼女が受賞した経緯を知ることで、より深い理解と感動を得ることができるでしょう。