新たな発火防止技術の登場
近年、モバイルバッテリーや電気自動車(EV)など、様々な場所で蓄電池の発火が問題視されています。その原因として最も多いのが、内部短絡ですが、自己放電はすべての蓄電池に共通する現象です。自己放電とは、充電した蓄電池が少しずつ電気を失っていく現象で、すべての電池が永遠に電気を保持できない理由とされています。
この自己放電には、電池内部の空間的不均一性が深く関与しています。この不均一性が蓄電池の内部短絡を引き起こし、発火のリスクを高める要因となります。
蓄電池の品質評価技術の革新
株式会社Integral Geometry Science(以下、IGS)は、これまでにない新技術を開発しました。それにより、X線では検出できない蓄電池内部の自己放電箇所や微短絡を特定できる技術を実現しました。この技術は、今後の安全性向上に寄与することが期待されています。
IGSの技術は、蓄電池の外部に漏洩する磁場を測定し、蓄電池内部の電流密度を視覚化します。この新しい画像診断技術を用いることで、従来の試験手法では見逃されていた潜在的な不良品を特定することができます。これにより、蓄電池の発火リスクを大幅に減少させることが可能です。
BATTERY JAPAN 二次電池展での展示
この革新的な技術は、2025年9月17日(水)から19日(金)まで幕張メッセで開催される「BATTERY JAPAN 二次電池展」に出展される予定です。発表される内容には、デモ機を用いた具体的な適用事例などが含まれます。
また、9月18日(木)には、IGSの代表取締役で神戸大学教授の木村建次郎博士が、セミナーで本システムの詳細を解説します。発火リスクを低減するための新技術や、その実用性について直接伺える貴重な機会です。
発火のリスクと今後の展望
蓄電池の発火事故は、航空機や電車の中での事故を引き起こす可能性があるため、その安全性は極めて重要です。IGSの新技術は、発火の原因を特定することで、蓄電池の供給チェーンでの安全管理を強化します。これによりユーザーはより安心して蓄電池を使用できるようになります。
木村博士は「蓄電池の安全性向上は、今後のモバイル機器やEVの普及に不可欠です」と述べており、IGSの技術開発の重要性を強調しています。この技術が実用化されれば、蓄電池の利用における新たなスタンダードが確立されることでしょう。
まとめ
IGSの開発した画像診断技術は、蓄電池の安全性確保に向けた新たな一歩を踏み出したことを示しています。今後、BATTERY JAPAN 二次電池展での展示を通じて、さらなる広がりを見せることが期待されます。技術の進展が、我々の日常生活にどのように貢献するのか、その成果を注視していきたいと思います。