住友林業の新たな試み:AIを活用した間取り提案システムの実用化
住友林業株式会社は、顧客向けの新しい間取り提案システム「AI間取り検索」を開発し、年内の実用化を目指しています。このシステムは、規格型住宅商品「Premal」と連携しており、AI技術を駆使して顧客のニーズに沿った最適な間取りを提案します。
AI間取り検索の背景と目的
住まいを選ぶプロセスには、多くの情報収集や調査が必要です。お客様が理想の住まいを作り上げるためには、様々な要望を検討し、反映することが求められます。しかし、従来の方法では、そのための時間や労力がかかり、効率を求める声が上がっていました。これに対応するため、住友林業は豊富な経験を持つ担当者の知識を共有したAIを導入し、営業や設計のプロセスをサポートするシステムを開発しました。
システム概要
「AI間取り検索」は、業界最先端の大規模言語モデル(LLM)を 活用した三つのAIシステムで構成されています。顧客の家族構成や住宅に対する要望をヒアリングした後、次のようにプロセスが進行します。
1.
顧客要望深掘AIが潜在的な要望を引き出します。
2. その後、
間取り検索AIがヒアリングされた情報をもとに適切な間取りの候補を提案します。
3. 最後に、営業担当者がAIから選出された間取り候補を基に、顧客に寄り添った具体的な提案を行う、という流れです。
このようなプロセスを通じて、提案作成の効率化とより高精度な提案が期待されています。また、将来的にはこのシステムをもとにした注文住宅への活用も模索されています。
システムの構成と技術
このシステムは、以下の三つのAIから成り立っています。
- - 顧客要望深掘AI:営業や設計の経験を持ったAIが顧客の要望を議論し、潜在的なニーズを提示します。
- - 間取り検索AI:議論と示唆をもとに、データベースから最適な間取りを選出します。
- - データベースAI:選ばれた間取りの特長を蓄積し、システム改善に役立てます。
このシステムによって、顧客と営業の間のコミュニケーションが活発になり、提案のスピードや精度が格段に向上することが期待されています。
今後の展望
住友林業は、2025年末までに全国の支店で「Premal」を提案する際にこのシステムを積極的に活用することを見越しています。技術検証を進め、顧客要望深掘AIの議論の精度を高め、収集されたデータを基に分譲住宅や注文住宅にも活用する方向性を検討する意向です。
Premalと住友林業のビジョン
「Premal」は「Premium」と「Minimal」を組み合わせたコンセプトのもと、機能的で暮らしやすいデザインに特化しています。打ち合わせを最小限に抑え、迅速な契約からの引き渡しが特徴です。住友林業は、これを通じて木造住宅の価値を高め、持続可能な社会を築くことを目指しています。2030年までの長期ビジョン「Mission TREEING 2030」では、DXの推進やイノベーションによる市場変革を掲げ、さらなる成長を目指しています。
住友林業の取り組みは、顧客満足度を向上させつつ、環境にも配慮した持続可能な社会の実現を視野に入れています。これからの展開に大いに期待したいところです。