ドキュメンタリー映画『香港、裏切られた約束』
2024年8月30日から、アップリンク吉祥寺および9月6日からアップリンク京都にて公開されるドキュメンタリー映画『香港、裏切られた約束』。この映画は、政治と社会が激動する中で故郷や愛する人々を守るために戦った香港市民の姿をリアルに描写しています。監督のトウィンクル・ンアン氏は、2019年の香港民主化運動を背景にビデオカメラを手に取り、その様子を記録しました。彼女は当時パティシエとして働き、使用した資金で映像を撮影。その後イギリスに亡命し、苦難の末にこの映像作品を完成させました。
この監督と亡命中のロンドンを結ぶZoomイベントで、映画の試写会トークショーが開催されました。監督は、香港の権力者たちが歴史を変えようとしていると語り、映画を通じて真実を広めることの重要性を強調しました。
香港の民主化運動
本作は1997年の香港返還後に展開された「一国二制度」が脅かされ、特に逃亡犯条例の制定を受けて数々のデモが展開されるという背景があります。2019年6月に行われた大規模なデモでは、約200万人が参加しましたが、全体としての支持を得られなかったゼネラル・ストライキについて、監督は当時の社会環境に言及し、多くの人々が仕事を優先せざるを得なかった状況を指摘しました。
トークショーの内容
トークショーでは、香港市民の活動や支援の形についても語られました。監督は、直接的なデモに参加できなくとも、大人たちが若者を支えるために力を貸す様子があったと述べました。理工大学では多くの大人たちが学生を救うために協力していた一方で、香港政府がストライキに無関心であったために市民も反応しづらかった側面もあったようです。
監督はまた、今後の活動についても語り、イギリスでのデモを撮影し、香港から移住した人々とイギリス国民との理解を深めるために映画制作を続けたいと強調しました。彼女は、香港に何が起こったのかを伝えることが、両者の共存を促進すると考えています。
現在の香港
現在、香港では多くの市民が移民として生活を強いられています。香港のメディアが信頼できない情報源となったため、多くの人は YouTube などを通じて情報を収集しています。監督は、この状況に心を痛めつつも、香港に向ける思いは変わらないと語ります。かつて自由であった香港の生活が今は難しい状況で、心の中では問題意識を持ちながら生きていることが大切だと強調しました。
監督のメッセージ
トウィンクル・ンアン監督は、香港の権力者が歴史を変える中で、映画を通じて真実を広める活動の意義を訴えています。「今後も関心を持ち続けていただきたい」と彼女は締めくくりました。
この映画『香港、裏切られた約束』は、単なるドキュメンタリーではなく、観客に現実を直視させ、未来の希望や課題を考えさせる重要な作品です。映像は、観客を抗議の最前線へと導きます。
詳細は公式サイト
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