ドローン操縦の新しい地平を拓く技術とは
無人航空機技術の進化は、私たちのインフラ点検業務のあり方を根本から変える可能性を秘めています。NTT株式会社とその関連企業が、無線通信における遅延揺らぎを低減し、ドローン操縦の映像品質を向上させる新技術を開発しました。これにより、危険な場所での点検作業を現地派遣なしで行うことができるようになり、業務の効率化が期待されています。
新技術の背景と実証
近年、日本は深刻な労働力不足に直面しています。この影響で、インフラや設備の点検業務においても人手不足が課題化し、その解決策としてドローンの活用が注目されています。特に、広いエリアでの自動飛行点検が可能になる一方、狭い空間や点検場所が頻繁に変わる場合には、精度の高い遠隔操縦が求められます。
これまで、無線通信での遅延揺らぎによる映像乱れがドローン操縦者にとって大きな障害でした。上りと下りの通信が同じ周波数を使っているための影響を受け、映像が途切れたり乱れたりすることが多かったのです。しかし、進化した技術により、この問題に対処することが可能になりました。実証試験においては、福島県南相馬市のロボットテストフィールドから約60km離れた郡山市でドローンの遠隔操縦が行われました。
技術の核心
新技術は、ローカル5GとフレッツVPNを組み合わせた通信環境を基に、遅延揺らぎを低減するためのさまざまな手法を採用しています。映像レートをリアルタイムで分析し、補正することで、操縦者に対して安定した映像を提供します。これにより、操縦者が現地にいるかのような高い精度でドローンを操縦できるようになります。
また、実証の結果、映像が乱れる時間が12%から5%に減少し、移動時間も目視操作とほぼ同程度となる32秒で済むことが確認されました。これは、遠隔操縦による効率化が実現した証です。
それぞれの企業の役割
この技術開発における各社の役割は明確です。NTTは映像品質を安定させる技術を実装し、遠隔操縦の有用性を検証しました。NTT-MEはローカル5Gの設計から運用までを担い、NTTイードローンは実証におけるドローンの提供と操縦環境を整備しました。これにより、各単位の強みを生かしながら、技術の成熟が図られています。
今後の展望と応用
新しい技術の実用化によって、特にドローン以外でも無人航空機やロボットの遠隔操縦に利用できる可能性が広がります。さまざまな業界での遠隔オペレーションの推進は、人手不足を解消する一助となるでしょう。この技術は2026年5月に開催されるつくばフォーラム2026で披露される予定です。
技術の進歩により、ドローンの遠隔操縦がより身近なものとなる日も近いでしょう。これからもNTTグループは、各分野における課題を解決するため、革新を続けていきます。