新経済連盟が提言する『働きがい』改革の必要性と方向性について

新経済連盟が提言する『働きがい』改革の必要性と方向性

2025年7月1日、東京に本部を置く一般社団法人新経済連盟が、『いま、働き方改革から「働きがい」改革へのチェンジを』と題された注目すべき提言を公表しました。この提言は、現在の日本における雇用・労働市場の課題を解決するための重要なステップを示しています。

現状と課題

日本の企業における「熱意のある社員」の割合が、国際的に見て最低水準であることが指摘されています。過去15年間にわたって「働きやすさ」は改善を見せているものの、同時に「働きがい」は急激に低下しております。このようなデータが示すのは、単なる労働環境の整備にとどまらず、従業員が仕事にやりがいを感じられるような施策が求められているという現実です。

新経済連盟は、この問題を解決するためには、従業員がキャリアを自律的に形成できる社会の実現が不可欠であると考えています。個々人のライフスタイルやキャリア設計を背景に、労働時間に対する価値観は多様化しています。「給与が増えるなら労働時間が増えても良い」といった意見もあるため、従来の画一的な制度では対応しきれないのが現状です。

提言の基本理念

提言の中で新経済連盟が掲げる基本的な考え方は以下の通りです。
1. 自律的なキャリア形成の推進：個々がやりがいを持って働けることで労働市場の流動性が高まり、国の持続的成長へと繋がる。
2. データ駆動の分析：業界や職種の実態を基に、問題の根源を広範囲に分析し、現行の法制を超えた議論が重要である。
3. 柔軟な労働時間制度の必要性：一律な労働時間規制が多様な働き方を阻害するため、個々のニーズに応じた制度を整えるべきである。

主な提言事項

この提言には具体的な改革案も含まれています。主な提言は次の通りです。
1. 労働時間法制の選択的柔軟化：高度プロフェッショナル制度の拡充や次世代リーダーの育成を目的とした新たな労働制度の創設が提案されています。
2. 『働きがい改革検討会議』の設置：労働力不足を含む多様な労働問題を精緻に分析し、現行の労働法制の枠を超えた議論をするための会議体を設けることが求められています。

新経済連盟は、これらの提言を基に政府や他の関連機関と真摯に議論を進め、日本経済の持続可能な成長と、働く人々の「働きがい」の向上に寄与するとしています。