旭化成の新たな挑戦
旭化成株式会社は、食品衛生現場における細菌検査の迅速化を目的とした抗原検査技術を開発しました。これにより、業界内での食品安全性を向上させることを目指しています。今回の新技術に基づく迅速細菌検査キット「BacNavi™(バクナビ)(総菌用)」の提供が決まり、今後の展開が期待されます。
食品衛生の重要性
世界的に食中毒は大きな問題であり、年間約6億人が影響を受けています。さらに、これによる生産性の低下や医療費の増加は、経済に深刻な影響を与えています。日本でも、2021年の食品衛生法改正により、食品のサプライチェーン全体での衛生管理が義務付けられ、業界全体での取り組みが求められています。
食品業界では、工場や調理施設、飲食店などの各段階で定期的な細菌検査が行われており、長年にわたり培養法による検査が主流となっています。しかし、この方法では結果が出るまでに数日を要するため、迅速な対応が難しく、改良が必要とされていました。
新技術の概要
旭化成では、ヘルスケア分野での感染症診断のために細菌検査技術の研究を重ねてきました。これにより、幅広い細菌に対応可能な抗体ラインアップを整備し、さまざまな検体に応じた検査キットの開発ノウハウを確立しています。
今回発表された新技術は、総菌と呼ばれる様々な種類の細菌の合計を30分で検出できるものです。この技術を活用することで、特別な専門知識や設備がなくとも、衛生状態を迅速に把握できるようになります。検査結果が短時間で得られるため、食品業界での迅速な対策が可能となります。
飲食店や小売店での活用
迅速細菌抗原検査キット「BacNavi™」は、食品工場や調理施設、飲食店、小売店など、さまざまな場面で使用されることが想定されています。調理環境や食材の衛生検査に活用され、食品衛生の向上に大きく寄与することが期待されています。これにより、食中毒のリスクを減少させるとともに、フードロスの削減にも貢献することが見込まれています。
展示会への出展
この新技術の詳細については、2025年10月15日から17日まで東京ビッグサイトで開催される「FOOD展2025」に出展する予定です。展示会内の「フードセーフティジャパン2025」で、場所はE-11ブースとなります。
会場で新技術のデモンストレーションを行い、業界関係者との意見交換を通じてさらなる開発や応用の可能性を探ります。展示会は、食品衛生に関心を持つ多くの専門家が集まる機会であり、ここでの反響が今後の施策に反映されることでしょう。
未来への展望
旭化成は「変わる未来のはじまりを。」を理念に掲げ、無形の資産を創出し、持続可能な社会の実現に向けた研究開発に取り組んでいます。この新しい迅速細菌検査技術が、食品業界にとって重要な一歩となることを願っています。安全で安心な食品を消費者に提供するため、引き続き努力を続けます。
今後の技術ライセンスの提供についても検討しているため、他社との連携を進めることによって、さらなる食品衛生の向上を図る姿勢を示しています。過去には、乳牛の乳房炎原因菌を迅速に検出する技術のライセンス提供を開始するなど、様々な応用実績も持っています。詳細情報は公式サイトにて公開されており、興味のある方はぜひチェックしてください。