本屋アルゼンチンの新プロジェクト
糸島の小さな本屋から、新たな知識の世界が広がる"教授の本棚"プロジェクトが誕生しました。このプロジェクトは、合同会社こっからが運営する本屋アルゼンチンとセンコーグループホールディングス株式会社の共同企画としてスタートしました。九州大学名誉教授の南博文先生から提供された書籍を使い、参加者に約10冊の学術書を配本するサービスです。
参加者募集の背景
本屋アルゼンチンは、長年専門分野に携わってきた教授たちが集めた書籍の価値に注目し、多くの書籍が破棄される現状に対してアクションを起こしました。南教授が40年かけて集めた約2000冊の蔵書が、九州大学退任後に無用の長物となる可能性がある中、このプロジェクトはその書籍を再編集し、全国へ届ける試みとして誕生しました。
不確実な知識を提供することが、特に現在の高校生や社会人にとって、大きな学びの機会を意味することを目指しています。大学では接しにくい学術書を通じて新たな視点を得ることで、単なる情報消費から脱却し、深い思索の旅へと導くことがこのサービスの狙いです。
サービス内容
「教授の本棚」では、参加者は1ヶ月間にわたって約10冊の学術書を受け取ります。配本される書籍は、環境心理学、社会学、人類学、哲学などの専門性の高い学際的な分野のものが中心です。普段の生活では触れることのない難解な内容が多いため、最初は戸惑いもあるかもしれません。しかし、それこそが「わからなさ」に触れることで、新しい好奇心を喚起するきっかけになるのです。
本サービスは全50枠の参加者を募集し、そのうち5枠は高校生向けに無料で提供されます。応募期間は10月7日から30日まで、サービスは11月上旬から12月上旬までの1ヶ月間実施される予定です。
背景にある哲学
本屋アルゼンチンが提唱するこのプロジェクトには、現代社会における「わかりやすさ」の重視への疑問があります。私たちは、難解なことや理解しにくいことを避ける傾向にあり、それが結果的に知識の深みを失うことにつながっています。「わからなさ」を受け入れ、好奇心を持つことが真の学びにつながると本屋アルゼンチンは考えています。このプロジェクトを通じて、日常を揺り動かすような経験を参加者に提供することが目的です。
教授の紹介
南博文先生は広島出身の環境心理学者であり、広島大学とアメリカの大学院で学んだ経歴を持ちます。現在は筑紫女学園大学学長を務めながら、本屋アルゼンチンとの関わりを深めている特異な教授です。彼の経験と知識が、参加者にとっての大きな学びの源となります。
終わりに
本屋アルゼンチンが運営する「教授の本棚」プロジェクトは、文学や知識の新たな可能性を探る場であり、参加者にとって貴重な学びの機会になることが期待されています。難解な言葉やテーマがしばしば避けられる社会にあって、あえて「わからなさ」を選び、感じることが、これからの学びの形になるかもしれません。興味がある方はぜひ、この機会に参加してみてはいかがでしょうか。