絵が苦手だった8歳が金賞を受賞した物語
東京都在住の中橋隆廣くん(8歳)は、遡ること数ヶ月前まで絵を描くことに対して非常に自信がなかった。彼は小さい頃から、「絵が下手」と言われ続け、周囲の目が気になり、ただの宿題であるはずの絵にすら恐怖感を抱いていた。特に、学校生活が慣れないうちに自信を失い、遂には不登校になってしまったのが夏休み前のこと。
母である中橋治美さんは、その変化に心を痛めながらも、息子を励まし、共に悩み、ある取り組みを始めることを決意する。それは、夏休みの宿題として出された絵を二人三脚で取り組むことだった。
共同作業がもたらした変化
治美さんと隆廣くんは、毎日少しずつ絵の宿題に取り組み、時間をかけて少しずつ出来上がっていく過程を楽しむことができた。彼らが描いた作品は、第9回 MOA美術館港区児童作品展で金賞を受賞し、隆廣くんの絵に対する周囲の評価が一変した。以前は「絵が下手」と見られていた彼が、「絵が上手い」という評価を受けることに、隆廣くんは驚きを隠せなかった。
この受賞によって、彼は自分の中で何かが変わったことを感じ取り、教室の雰囲気が明るくなったことにも気がつく。
個展開催の背景
金賞を受賞した後、彼らはさらに新たな挑戦として個展を開催することになった。この個展は、単なる絵画展ではなく、母子での個性や自由を考える時間の場ともなった。絵を通じてお互いの思いを分かち合うことで、子供がどのように「描きたい」と思うか、その気持ちを尊重することの大切さを理解する機会となった。
隆廣くんは、作品作りの中で自分が本当に楽しめる技法を見つける過程に入る。水彩画、ペン画、パステル画など、様々な技法の中から彼自身が好きなもの、逆に苦手だと思っていたものに気づきながら、少しずつ技術が向上していった。
絵を通じて感じた想い
作品を制作する中で、隆廣くんはただ見たものを色に変えるのではなく、自身の感じたことを色で表現することを覚えていった。感情を色で表す力は、彼の絵に新しい命を吹き込むこととなり、描きたいという気持ちが芽生えていった。友情や恐怖、喜びといった感情を描くことで、彼は不登校の友達のことを思いやるようにもなったのだ。
個展の詳細
この特別な親子展は、アスコット丸の内東京22階での開催され、日程は2024年12月13日から19日までとなる。入場は無料で、11:00から18:00(最終日は17:00まで)まで開かれる。
「ぼくの見える世界、ぼくとママの親子展」というタイトルのもと、隆廣くんは自身の作品を通じて、他の子供たちが持つ「絵に対する不安や恐怖」にも光を当てたいと考えている。彼が自身の賞を取った絵を全額チャリティーにする意向も示し、周囲の子供たちにも絵の楽しさを伝える手助けができればと願っている。
Wabunka Projectの取り組み
この個展は、一般社団法人Wabunka Projectが主催しており、和の精神を軸とした教育を通じて、日本文化の国内外への発信を目指している。代表取締役の中橋治美さんは、今後も子供たちの可能性を広げる活動を続けていく意向を示している。詳細は公式サイト
Wabunka Project を参照してください。