2024年の転職成功者の平均年齢調査結果
転職サービス「doda」は、2024年1月から12月にかけて同社のエージェントサービスを利用して成功した転職者の平均年齢を調査しました。この調査により、平均年齢は32.7歳であることが明らかになりました。これは前回2023年の調査結果と比較して0.3歳の上昇を示し、2年連続で増加傾向にあります。
調査結果の要点
調査の結果、転職成功者の年代別割合に大きな変化が見られました。特に「30代後半」と「40代以上」の層の割合が注目されています。前回と同様に「20代後半」の割合が高いものの、特に「40代以上」の層が増加しており、その割合は14.9%から16.6%へと上昇しました。これは企業が即戦力を求めて、経験豊富なミドル層の採用ニーズが高まっていることを示しています。
男女別の傾向
男女別に見ると、男性の平均年齢は33.6歳、女性は31.2歳という結果が出ています。両性ともに前回調査よりやや上昇しており、特に女性の上昇幅が大きいことが特徴です。これは女性のキャリア形成に関する意識の高まりや、職場環境の改善が影響していると考えられます。
職種別の変化
転職成功者の年代別に職種を分析したところ、すべての職種において「20代後半」の割合が最も高いことが再確認されました。この中で特に目立つのは「金融系専門職」でした。この職種は35歳未満の割合が+4.8ポイント上昇し、全体の60.6%に達しました。
若手層の流動化
この背景には、コロナ禍を経て若手層がキャリアを見直し、「リベンジ転職」として希望する企業への再挑戦を図る傾向があったことが影響していると言われています。転職市場が活発化する中、第二新卒の採用を強化する企業も増加しており、若手人材の流動化が進んでいることが伺えます。
ミドル・ベテラン層の需要
一方で、35歳以上の層では特に「事務/アシスタント系」、「素材/化学/食品系エンジニア」、「販売/サービス系」の職種で割合が増加しました。その背景には、経済状況の悪化に伴い転職活動を始める人が増えていることや、長く働ける環境を求める人が多くなったこと、企業側がミドル・ベテラン層の採用を強化していることが挙げられます。
労働市場の変化
社会全体では、65歳までの雇用を確保する義務化や定年制度の廃止が進んでおり、企業はより長く働くことができる人材を求める傾向にあります。こうした動きは、転職市場におけるミドル・ベテラン層の活躍を一層事後押ししています。2025年からは「ミドルシニア元年」となると見込まれており、今後の転職市場の活性化が期待されます。
結論
2024年の調査を通じて、転職成功者の平均年齢が32.7歳に達し、特に30代後半から40代以上の層が増加していることが鮮明になりました。転職を選ぶ理由は多様化し、企業環境の改善や働き方の変化が影響を及ぼしています。将来的にはより多様な世代が転職市場に参画し、企業の即戦力となる人材が求められることでしょう。
【プロフィール】
doda編集長 桜井 貴史は、新卒で大手人材会社に入社後、国内外のキャリア支援に関わり続けています。dodaでは編集長として、キャリアの多様性や市場のニーズに応じたサービス開発に取り組んでおり、2024年にはミドルシニア層の転職市場が活性化すると予想しています。