新たな医薬品添加剤「ソナノス™」の登場
旭化成株式会社は、革新的な医薬品添加剤「ソナノス™」(ヒアルロン酸ナノゲル)の品質保証付き有償サンプル提供を開始しました。この新しい添加剤は、医薬品の製剤化において新たな可能性を開くものとして注目されています。また、2027年を見据えたGMP製造品の提供を目指すことでも話題を呼んでいます。
「ソナノス™」の特徴
「ソナノス™」は、結晶セルロースを用いた既存の添加剤「セオラス™」に基づいた新製品であり、薬物と混合するだけで様々な成分を封入できるヒアルロン酸誘導体です。特に、薬物デリバリーシステム(DDS)において高い適応性を持っています。これにより、従来の技術に比べて有機溶媒を使用せず、より高い安全性を実現しています。
この新しい添加剤の利用は、タンパク質やペプチド、難水溶性の低分子薬物に対応可能であり、特に既存の可溶化剤よりも少量で効果を発揮します。加えて、化学構造の改変なしに多様な成分に適用できる点も評価されています。それにより、薬の投与方法や患者への負担を軽減することが可能です。
事業化の動き
旭化成は2020年から国内外の製薬企業に対して60件以上の無償サンプルを提供し、フィージビリティスタディを実施してきました。この経験を活かし、「徐放化グレードソナノス™PG」と「可溶化グレードソナノス™DS」の2種類の新たなグレードで製品の開発を進めています。
特に注目すべきは、2024年に設立されたスピンアウトベンチャー「DiveRadGel株式会社」がスピンオフして、がんワクチン用の「ワクチングレードソナノス™DV」の開発を行うことです。この新規添加剤は、がん治療の分野での用途が期待されています。
学会出展の計画
2025年11月、米国テキサス州サンアントニオで開催される医薬品製剤に特化した学会「AAPS 2025 PharmSci 360」において、旭化成は「ソナノス™」の詳細を紹介予定です。さらなる技術データの公開も期待されており、参加者にとって見逃せないイベントとなるでしょう。
出展内容やセミナーの詳細については、学会の公式サイトでも紹介されます。当社はこの場を通じて、医薬品製剤の実現と患者のQOL向上を目指していく所存です。
結論
新規医薬品添加剤「ソナノス™」の登場は、医薬品業界において大きな変革をもたらす可能性を秘めています。これにより、医薬品の投与回数の削減や効率的な治療方法の確立が期待され、患者にとってもより良い治療環境が整っていくことでしょう。旭化成は、今後も業界をリードする新技術の開発に努めてまいります。