プログラミングを「創造的行為」として捉え直す!
株式会社秀和システムは、2024年6月29日に、新刊『クリエイティブプログラマー』を刊行しました。本書は、Manning Publicationsの「The Creative Programmer」(2023)の日本語訳で、『プログラマー脳 ~優れたプログラマーになるための認知科学に基づくアプローチ』の著者であるFelienne Hermans氏が序文を寄せています。
著者のWouter Groeneveld氏は、4年以上に渡る研究の成果をまとめ、プログラミングにおける「創造性」というテーマに焦点を当てています。本書では、プログラミングが創造的な取り組みであることを前提に、創造性をどのように理解し、どのように習得していくのかを7つのテーマに分け、詳細に解説しています。
「クリエイティブプログラマー」とは?
「創造性」という言葉は、しばしば抽象的で捉えにくいものです。本書では、第1章で創造性の起源からその意味を紐解き、プログラミングにおける創造性の定義を明確化しています。そして、創造性をどのように測定するかについても触れられています。
続く各章では、クリエイティブプログラマーの重要な要素として、以下の7つのテーマを取り上げています。
1. 専門知識
2. コミュニケーション
3. 制約
4. 批判的思考
5. 好奇心
6. 創造的な心の状態
7. 創造的なテクニック
それぞれのテーマについて、古代ギリシアの哲学者、ルネサンス期の画家、創成期のビデオゲーム開発者など、著者の幅広い興味対象と膨大な知識に基づいた「たとえ話」を用いて、深く掘り下げています。メモの取り方やブレインストーミングの方法、チームワーク、自分のマインドセットなど、創造性の様々な側面を網羅しています。
実践的な「演習」で創造性を磨く!
本書の特徴として、各章に実用的な「演習」が盛り込まれていることが挙げられます。これらの演習を通して、読者は本書で学んだ内容を実際に試すことができ、自分の創造性を高めるための実践的な方法を身につけることができます。
生成AI時代のプログラマーに必須のスキル
近年、生成AIの進化が目覚ましく、コードの自動生成も精度を高めています。今後、プログラマーはコードを書く量自体が減っていく可能性も考えられます。しかし、それと同時に、より高度な創造性が求められることは間違いありません。
『クリエイティブプログラマー』は、生成AI時代に求められる創造的なプログラミングスキルを習得するための実践的なヒントが満載です。プログラマーとして、さらなる高みを目指す人にとって必読の一冊と言えるでしょう。
創造性を「実践」する喜び!
『クリエイティブプログラマー』を読んだ感想は、「プログラミングは創造的な行為である」という当たり前の事実を改めて実感できたことです。本書は、単にプログラミングの技術的な側面を解説するのではなく、創造性を育むための思考法や行動様式を、豊富な事例と実践的な演習を通して提示しています。
特に印象的だったのは、古代ギリシアの哲学者から現代のビデオゲーム開発者まで、様々な分野の事例を交えながら、創造性の概念を多角的に解説している点です。従来のプログラミングに関する書籍では、このような視点からの考察はあまり見られませんでした。
本書を通して、創造性を磨くための具体的な方法論を学ぶことができ、自分自身で試したくなる衝動に駆られました。例えば、メモの取り方やブレインストーミングの方法など、日常的に実践できるテクニックを学ぶことで、プログラミングに対する考え方や取り組み方が大きく変わりました。
また、著者のWouter Groeneveld氏が描いたイラストが、ユーモアを交えながら内容を理解しやすく、読み進めるモチベーションを高めてくれました。日本語版では、訳者の秋氏がイラストを日本語に置き換えている点も、細やかな配慮を感じました。
『クリエイティブプログラマー』は、プログラミングスキルはもちろんのこと、あらゆる分野で創造性を活かしたいと考えている人にとって、非常に有益な一冊です。本書をきっかけに、創造性を意識したプログラミングの世界を体験してみてはいかがでしょうか。