LGBTQ+旅行者の安全と安心、ブッキング・ドットコムが最新調査結果を発表
世界最大級の宿泊予約サイトであるブッキング・ドットコムは、LGBTQ+旅行者に対する最新の調査結果を発表しました。この調査は、日本を含む世界27の国と地域、11,469人のLGBTQ+旅行者を対象に行われ、LGBTQ+旅行者が旅行中に直面する課題や不安、旅行会社への要望などが明らかになりました。
調査結果によると、日本のLGBTQ+旅行者の36%が旅行中に不当な扱いを受けた経験があると回答しました。これは、前年の25%から増加しており、世界平均の59%と比較しても高い数字です。また、日本のLGBTQ+旅行者の32%は、旅行中のさまざまな状況を安全に乗り越えるために、別の自分を装った経験があると回答しています。
LGBTQ+旅行者は、旅行先で自分自身をどのように感じているかについて、強い意識を持っています。日本のLGBTQ+旅行者の40%は、LGBTQ+であることによって旅行者としての不安や自意識が高まっていると回答しています。特に、トランスジェンダー、インターセックス、ノンバイナリーの人々は、より強い不安を感じていることがわかりました。
旅行先を選ぶ際の考慮事項
LGBTQ+旅行者は、旅行先を選ぶ際に、以下の点を考慮していることが明らかになりました。
LGBTQ+の人権、平等、婚姻に関する権利:日本のLGBTQ+旅行者の29%は、旅行先の法律を重要な要素と考えています。
LGBTQ+に対する社会の受容度:日本のLGBTQ+旅行者の28%は、自国と比較して旅行先がどの程度LGBTQ+の人々を受け入れているかを考慮しています。
LGBTQ+旅行者の体験に関するニュース:日本のLGBTQ+旅行者の25%は、外国を旅するLGBTQ+コミュニティの旅行者の体験についてニュースで見聞きしたことを考慮しています。
これらの懸念は、LGBTQ+旅行者の旅行先の選択に大きな影響を与えています。日本のLGBTQ+旅行者の34%は、過去1年以内に、旅行先がLGBTQ+の人々に協力的ではないと感じられたために、旅行を取りやめた経験があると回答しています。
一方で、日本のLGBTQ+旅行者の44%は、過去12ヶ月間に、LGBTQ+を自認する人々に協力的であると思われる地域への旅行を予約しています。また、LGBTQ+ツーリズムがすでに確立されている旅行先を選ぶと回答した日本のLGBTQ+コミュニティの旅行者の割合は57%でした。
旅行中の不安と対策
LGBTQ+旅行者は、旅行先が決まると、フライト中に起こりうる不当な扱いへの不安を和らげるために、さらに対策を講じています。
日本のLGBTQ+旅行者の30%は、LGBTQ+の自分に向けられる反応や行動を恐れて、見知らぬ人の隣に座ることに不安を抱いています。特に、トランスジェンダー、インターセックス、ノンバイナリーの人々は、より強い不安を感じていることがわかりました。その結果、日本のLGBTQ+旅行者の35%は、不当な扱いを恐れて他の人との接触を最小限に抑えるために、あらかじめ特定の席を選択することにしている、と回答しています。
また、旅行中に不安を感じる機会の多いLGBTQ+当事者は、日本のLGBTQ+旅行者の29%が、自分自身を守るために、潜在的な不当な扱いや望ましくない注目を避けるため、外見や行動の一部を変えている、と回答しています。
旅行会社への要望
LGBTQ+旅行者が、今後より良い旅行体験をするためにどのような改善点を旅行会社に要望するかを尋ねたところ、日本のLGBTQ+旅行者の11%は、歓迎されていると感じられる宿泊施設を見つけるのに役立つ、絞り込み機能を挙げました。この機能を特に重視しているのは、トランスジェンダーとジェンダーフルイドの旅行者です。
ブッキング・ドットコムの取り組み
ブッキング・ドットコムは、LGBTQ+コミュニティの旅行者が直面する課題について理解を深め、すべてのゲストがより快適に感じられるように、様々な取り組みを行っています。
Travel Proudプログラム:ブッキング・ドットコムは、宿泊施設向けの無料トレーニングプログラム「Travel Proud」を提供しています。このプログラムは、LGBTQ+コミュニティの旅行者が安心して宿泊できるよう、宿泊施設の従業員に対して、LGBTQ+に関する知識や理解を深めることを目的としています。
Proud Certified認証:Travel Proudプログラムを修了し、認証を獲得した宿泊施設には、「Travel Proud」のバッジが追加されます。これにより、LGBTQ+コミュニティの旅行者は、より居心地の良い体験を期待できる宿泊施設を簡単に探し出すことができます。
パートナーシップ:ブッキング・ドットコムは、国際LGBTQ+旅行協会(IGLTA)、世界平等基金(GEF)、Stonewall National Monument Visitor Centerなど、LGBTQ+コミュニティの権利保護に取り組む団体とパートナーシップを結んでいます。
まとめ
ブッキング・ドットコムの調査結果から、LGBTQ+旅行者は旅行中の安全や安心に課題を感じていることが明らかになりました。旅行会社は、LGBTQ+コミュニティの旅行者に対して、よりインクルーシブなサービスを提供するために、継続的な努力が必要です。