地方発の高級ソース「刃」
山口県下松市で起業した31歳の若手起業家、山本亜門氏が手がける株式会社ITADAKIが、アジア最大級の国際食品・飲料展示会「FOODEX JAPAN 2026」にプレミアムソース「刃(YAIBA)」を出展する。価格は1本3万円という高級感を持ちながらも、単なる高級調味料ではない。これから行われる展示会を通じて、世界に向けた新たな挑戦が期待されている。
価格設定の背景
「刃(YAIBA)」の価格は、商品が持つ価値に基づいて設定されたものであり、ただ単に高価格を追い求めたものではない。山本氏は、味、原料、製造工程、時間のすべてにこだわり、「どこまでできるか」という問いから商品を作り上げた結果として、この価格に至った。大量生産による単純化を避け、良質な原料を選び抜き、国内で丁寧に製造することで、味の完成度に徹底的にこだわっている。
このソースは、普段使うことを目的とせず、特別な場面で使うために設計されている。そのため、贈答用としても高い価値を持ち、受け取った瞬間に特別な体験を提供することを目指している。
家庭の味を昇華させた背景
「刃」の背景にあるのは、山本氏の祖母が60年以上にわたり家庭で作り続けたソースだ。華やかなレシピではないものの、長年の家庭の味がもたらした特別な体験は、他に代えがたいものとなっている。山本氏は、この家庭の味をそのまま商品化することはせず、削ぎ落とし、整え、品位を与えることで、世界に通用するレベルまで引き上げることに注力した。
彼は、効率やスピードを求めるのではなく、味の完成度と体験を重視し、時間と手間を厭わず製品に注ぎ込む選択をしている。これこそが、「刃」の本質である。
原料の選び方と役割
「刃(YAIBA)」の原料は、単なる希少性や産地の誇示ではなく、その特有の味わいと体験を引き出す役割を果たしている。各素材は、その味の骨格を形成し、感情を呼び起こし、余韻を整える役割を担っている。全ての素材が控えめに調和し、複雑でありながら上品な味わいを生む。
山本氏は、その時に最も良い状態の原料を選定し、じっくりと時間をかけて加工を行うことにより、他にはない独特の味を作り上げている。
プロが語る「商品の設計」
星付きのレストランのシェフたちも、刃の設計には驚きを隠せない。彼らの話によると、近い味は再現可能でも、この設計そのものは他の店では再現できないものだと語る。これは、プロの技術をもってしても、バランスを取りながらの設計に制約があるためだ。
多くの飲食店が高い利益と効率を追求する中で、「刃(YAIBA)」はその枠を超え、完全な味を求める挑戦を続けている。
贈ることで生まれる物語
「刃(YAIBA)」は、単なる調味料ではなく、贈ることによって受取人に特別な価値を提供する。贈られた瞬間から、その物語が始まり、受け取った人は自分を大切に思われていると感じることができる。その体験は、食卓を超え、思い出の一部となり、送り手とのつながりを深めてくれる。
FOODEX JAPAN 2026での挑戦
FOODEX JAPANは、世界中のバイヤーが集まる国際食品・飲料の展示会で、今回の出展によって「刃(YAIBA)」がいかに特別なものであるかを発信する重要な舞台となる。会期中、山本氏自身が会場に常駐し、商品の背景や哲学を直接紹介する。
この機会を通じて、今まで以上に多くの人に「刃」の魅力を届けることができるだろう。展示会での体験を通じて、ここから新たな物語が展開されることを期待したい。