オンラインサポート『OraCo』が口腔衛生意識を変える
ライオン株式会社が展開する歯科衛生士によるオンラインサポートサービス『OraCo(オラコ)』が、患者の口腔衛生意識向上に寄与することが臨床試験を通じて実証されました。このサービスは、患者が歯科医院での受診後に、オンラインで継続的な指導を受けることを可能にします。その結果、患者のセルフケアの意識やモチベーションの持続が期待でき、口腔ケアの習慣化へとつながると期待されています。
研究の背景と必要性
歯科二大疾病であるう蝕と歯周病の予防には、患者自身が行う「セルフケア」と歯科医院でのプロによる「プロケア」が重要です。多くの患者が歯科医院での指導内容を受け取りますが、受診後にその内容を忘れてしまうことが多いことが問題視されていました。『OraCo』は、その解決策となるべく開発されました。
この研究では、歯科医院での指導内容をどうやって長期間にわたって実践していくかが焦点となっており、デジタルツールを用いて患者の「セルフケア」を支援する重要性が高まっています。テレデンティストリー(遠隔歯科診療)を導入したこのサービスは、患者が日常的に口腔ケアを意識する手助けをします。
研究方法の概要
本研究は、歯科医院受診後にオンラインサポートを受ける「アプリ利用群」と何も利用しない「アプリ未利用群」の2つのグループに分けられ、合計50名が対象となりました。アプリ利用群には、受診時の指導内容に基づく行動課題が3ヵ月間にわたり計15回提供され、アンケート調査が行われました。
調査項目には、口腔衛生意識と行動変容に関連する要素が含まれ、経過に応じて5回の評価が実施されました。このような厳密な調査によって、オンラインサポートの実際の効果が明らかにされることになりました。
研究結果の発表
調査結果では、「アプリ未利用群」と比較して「アプリ利用群」の方が、リスク認知などの項目で有意に評価が高まったことが確認されました。具体的には、う蝕や歯周病のリスクを意識できるようになり、自分のセルフケアの継続に自信を持てるようになったことが示されました。また、患者からは「歯科衛生士によるサポートが助けになった」という声が多く寄せられ、オンラインでの指導が動機づけに寄与することが示唆されました。
未来の展望
今後は、アプリに蓄積されたデータを別の歯科医院への口腔衛生指導に活用したり、セルフケアが重要な他の症状への応用展開も検討される予定です。また、今回の研究結果を受けて、ライオン株式会社はオーラルヘルスケアの習慣化を進め、人々の生活により良い習慣を広める活動を続けていく考えです。
この成果は、2025年5月に開催される第74回日本口腔衛生学会学術大会で発表される予定です。『OraCo』を通じて新しい歯科ケアの未来が開けることに期待が高まります。