北海道の小学校における情報モラル教育
近年、デジタルデバイスが生活の一部となり、情報リテラシーの重要性が急速に高まっています。特に子どもたちにとっては、ネット社会での安全なコミュニケーションや情報の取り扱いについての教育が欠かせません。今回は、北海道の滝上町立滝上小学校で行われた、高田保則先生の指導による情報モラル教育の取り組みを紹介します。
高田先生が展開する「ibisPaint倶楽部」
情報端末の導入を背景に、高田先生はGoogleクラスルームを利用した「ibisPaint倶楽部」というコミュニティを立ち上げました。このグループでは、モバイルペイントアプリ「ibisPaint」を使用して、子どもたちが自由にイラストを投稿し、相互にコメントし合う場を形成しています。これにより、単なる絵を描くだけでなく、仲間との友情やリスペクトも育まれています。
「ibisPaint倶楽部」では、年間200件以上の作品が投稿され、常に活発な交流が見られました。高田先生の監視のもとで、子どもたちはのびのびと自分の意見や感想を発信できる環境が提供されていました。これは、デジタル時代における安全なコミュニケーションを実践的に学ぶ上で、非常に意義深いものです。
情報モラル教育の重要性
高田先生は、子どもたちに「ネット空間での他者との関わり方」を教えることが重要だと強調されています。情報モラルの授業は、リスクや制限に終始しがちですが、その結果、子どもたちはネットを萎縮した存在として捉えかねません。そんな中、イラストを通じたポジティブな交流は、自然にお互いをリスペクトし合う環境を作ります。
高田先生は、このようなクラスルームが「疑似SNS」としての役割を果たしていると述べています。ここでは、仮に不適切な投稿があった場合にも、教員がフォローすることで、具体的にネットリテラシーを教えることが可能です。この取り組みを通じて、子どもたちは将来的なSNSでのトラブルを回避できる力を身につけていくのです。
子どもたちの自主性とコミュニケーションの育成
「ibisPaint倶楽部」は、ただのアートクラブではありません。子どもたちが自発的に参加し、お互いに教え合うことで、自然なコミュニケーションが生まれました。例えば、投稿に対して「この技術はどうやって使うの?」といった質問が行われた際には、同 grade の生徒たちが直接実演を交えて教え合うシーンも見られました。このような交流は、相互理解を深める上で非常に大切なプロセスです。
将来への影響
高田先生の取り組みは、子どもたちに将来の進路選択にも影響を与えています。ある子どもは、「ibisPaint倶楽部」の活動を通じてデジタルイラストに興味を持ち、中学校では美術部に進学することを選びました。これは、自己表現の手段を得ることが、彼の将来の目標を形作るきっかけになったことを示しています。
子どもたちへのメッセージ
高田先生は、子どもたちが「好き」を見つけ、それに熱中することの重要性を強調されています。たとえその「好き」が将来の職業にならなくとも、それは貴重な経験となり、人生の活力となると信じています。また、大人としては、子どもたちの自発性を尊重しつつ、しっかりと見守ることが求められます。ネットやSNSの世界には危険もありますが、子どもたちにはポジティブな交流を持ってもらいたいですね。
このように、北海道の滝上小学校での高田先生の取り組みは、ただの技術教育にとどまらず、未来社会を生き抜くための大切な教訓を提供しています。私たちも彼の姿勢を見習い、多くの子どもたちに自己表現やコミュニケーションの大切さを伝えていきたいものです。