双日のインドでの新たなエネルギーへの挑戦
双日株式会社は、エネルギー自給率向上や大気汚染改善に寄与するべく、インドのバイオメタン製造・販売事業に本格的に参入しました。この事業は、GPS Renewables Private Limited(GPSR)とインド最大の国営石油会社Indian Oil Corporation Ltd.(IOCL)が設立した特別目的会社、IOC GPS Renewables Pvt. Ltd.(IGRPL)を通じて運営されます。
バイオメタンとは?
バイオメタンは、農業廃棄物や都市廃棄物を嫌気性環境下で微生物が分解することで生成されるバイオガス(メタンとCO2の混合ガス)を精製したものです。この過程を経て得られるバイオメタンは、従来の化石燃料由来のガスに比べて温室効果ガスの排出を大幅に削減できるため、近年注目が集まっています。
双日は、IGRPLを通じて農業廃棄物を原料にしたバイオメタンの製造・販売を計画しており、2026年度から2027年度にかけてインド国内で30基の製造プラントを稼働させ、年間16万トンのバイオメタンを製造・販売する見込みです。
インドのエネルギー事情とバイオメタンの役割
インドは、世界で3番目のエネルギー消費国であり、今後の経済成長に伴い、同国の一次エネルギー使用量は急増する予想です。しかし、その約7割が石炭や石油などの化石燃料によるものであり、環境への影響が懸念されています。このような背景から、インド政府はバイオエネルギーの普及を推進し、エネルギー自給率の向上を目指しています。
双日はGPSRと共に、バイオメタン製造のための最先端技術やノウハウを駆使し、持続可能なエネルギーの確保に貢献すると同時に、農業残さの燃焼による大気汚染の改善を図ります。
中期経営計画との整合性
双日は、中期経営計画2026において、成長市場をターゲットとし、インドを注力国の一つに指定しています。また、グリーントランスフォーメーション(GX)分野を重視し、この事業も戦略的な成長の一環として位置付けられています。エネルギー関連ビジネスの拡大を図るため、専門組織を設けてGXに資する事業に積極的に資源を配分しています。
今後の展望
今後、双日はインド国内外において、バイオメタン製造・販売事業の他地域への展開や、さらなるバイオエネルギービジネスへの横展開も視野に入れています。エネルギー需要の拡大が見込まれる中で、双日は環境保全とビジネスの両立を果たし、持続可能な社会の実現に寄与していくことでしょう。
このように、双日のインドでの取り組みは、環境に優しいエネルギーの供給を通じて、農家の所得向上や大気汚染改善への貢献も期待される重要な事業です。今後の展開に注目が集まることでしょう。