新鋭作家・上村裕香の衝撃デビュー
17歳でデビュー作を発表する上村裕香は、佐賀県出身の若き才能である。彼女の作品『救われてんじゃねえよ』は、圧倒的な筆力で第21回「女による女のためのR-18文学賞」の大賞を受賞し、4月16日に新潮社から出版される。
母との関わりを通じた成長の物語
本書は、高校生活を送りながら難病の母を介護する女子高生の沙智を描いた物語である。沙智の姿を通じて、母との絆や介護の苦悩、生活の苦しさというテーマが淡々と描かれる。この作品は、ただのフィクションに留まらず、多くの人の心に響くリアルな福祉の姿を映し出している。
「救われてんじゃねえよ」は、延べ3篇から成り立っている。第一部では、沙智が母を介護しつつ高校に通う姿が描かれ、日常の中で彼女が感じる孤独や苦悩が丁寧に描写される。続く第二部「泣いてんじゃねえよ」では、大学生となった沙智が母の介護の重圧から逃れられない様子が展開され、さらにリアルな人間ドラマが繰り広げられる。そして最後の部「縋ってんじゃねえよ」では、親元を離れTV制作会社に就職した沙智が、両親とのある種の訣別を経験する様子が描かれている。これらの物語は、現実と向き合いながらも成長していく彼女の姿を通じて、読者に感動と共感を呼び起こす。
上村裕香の背景
上村裕香さんは、現在京都芸術大学大学院に在籍しており、メディア論を研究している。彼女の研究テーマである「近現代文学におけるケア表象」は、本書の内容とも密接に関係しており、文学を通じて現代社会の複雑な問題に光を当てる試みが反映されている。
若干17歳という年齢にも関わらず、彼女の作品は深い洞察に満ちており、同世代の若者たちにも多くの刺激を与えることだろう。デビュー作が大きな注目を集めている理由の一つでもある。
試し読みと書籍情報
新潮社のコーポレートサイトでは『救われてんじゃねえよ』の試し読みが公開されている。興味のある方はぜひチェックしてみてほしい。
- - 書籍タイトル: 救われてんじゃねえよ
- - 著者名: 上村裕香(かみむら・ゆたか)
- - 発売日: 4月16日
- - 造本: 四六判、128頁
- - 定価: 1,540円(税込)
- - ISBN: 978-4-10-356231-3
- - 試し読みリンク
- - 詳細情報: 新潮社公式サイト
上村裕香という新しい才能の登場を見逃さないでほしい。彼女の物語は、母の介護をすることの意味や、家族との絆を考えさせられる貴重な作品となるはずである。