2024年のレポートから見えるケーキ業界の未来と消費者動向

CCCマーケティング総合研究所が発表した2024年9月の「産業動向レポート」と「産業天気予報」では、現在のケーキ業界の厳しい現状と今後の展望が詳しく分析されています。このレポートは、約5万人の「レシーカ」ユーザーからのデータや全国主要企業へのヒアリング調査に基づいており、たしかな視点で業界の動向を捉えています。

町のケーキ店の消退

昨今、全国的に町のケーキ店が減少している傾向があります。コロナ禍が大きな影響を及ぼし、さらにスーパーマーケットやコンビニエンスストアでのケーキ取り扱いが増えたことで、顧客がこれらの店舗に流れてしまいました。外食業界では、地域に根ざした「町中華」や「町寿司」に注目が集まりつつある中、ケーキ店はその流れから取り残される形となっています。

その上、原材料費の高騰も多くのケーキ店にとって大きな打撃です。小規模のケーキ店はリピート客が重要ですが、価格を上げることで顧客が離れてしまうリスクもあるため、経営がますます厳しくなっています。

コンビニとスーパーマーケットの競争

スイーツ市場では、コンビニエンスストアの存在感が増しています。この業態では、個別販売の商品が中心ですが、ファミリー層をターゲットにした2個入りやファミリーパックの販売も拡大しています。コンビニのスイーツは、価格の引き上げ余地もあり、名シェフによる監修商品などの話題性も相まって、競争が激化しているのです。

スーパーマーケットでも、ケーキやスイーツの売上が上昇しています。大手メーカーが新商品を開発するだけでなく、中規模のベーカリーやケーキ店の製品も取り扱うことで、フレッシュなスイーツを提供し始めています。

デパ地下のスイーツ市場の変化

デパ地下のスイーツ売上も変わりつつあります。コロナ禍以降、フレッシュケーキの取り扱いが減少し、クッキーやチョコレートといった別のカテゴリーが注目されています。デパ地下のケーキ店は専門特化したタイプに変わりつつあり、その一方でショッピングセンターや駅ビルでのスイーツ売上が増加しており、新たなトレンドが生まれています。

これにより、スイーツトレンドがデパ地下からショッピングセンターや駅ビルへとシフトする動きが加速しています。教訓として、これからのケーキ業界は業態間の競争がますます厳しくなることでしょう。