APEX株式会社、三池港にて港湾施設の実証実験を実施
APEX株式会社(本社:東京都渋谷区、中国と日本を拠点とするAIを駆使した2D/3Dデータ解析プラットフォーム「Simple-Point」を持つ企業)が、港湾施設の老朽化に対する効率的な維持管理の実現を目指し、2025年1月17日に三池港(福岡県)において実証実験を行いました。この取り組みは、西日本プラント工業株式会社、五省コンサルタント株式会社、株式会社実測との共同プロジェクトで進められています。
課題と背景
現在、国内の多くの港湾施設ではコンクリートのクラックや消波ブロックの損傷といった老朽化に伴う問題が深刻化しています。放置されると波浪によるさらなる施設の劣化を招き、最悪の場合は重大な事故の原因となる可能性があります。従来の目視点検では変状の見落としが多く、作業の効率化が強く求められていました。
APEXは、SLAM技術を活用し、港湾施設の維持管理業務に対して高精度で効率的なソリューションを提供することを目的とした実証実験を実施しました。
SLAM100を利用した革新的アプローチ
本実証実験では、最新のハンドヘルドSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を用いて、港湾施設の3Dモデルを生成し、詳細なデータを収集することを目的としています。SLAM技術による点群データの取得に成功し、高精度な変状評価が実現できることが確認されました。
UAV(無人航空機)やROV(水中ドローン)との連携により、上空から水中までの多方向から港湾施設の状況を把握することができる点は、特筆すべき成果です。この方法により、従来の方法では困難であった狭い場所や高所の詳細情報を取得することが可能になりました。
実験の具体的な取り組み
実験は以下のステップで行われました:
1.
基礎データの収集
- 基準点測量と対空標識の設置後、UAVを使用して空撮を行い、レーザー測量によって精確なデータを取得しました。
2.
施設状況の把握
- UAVによる3D点群データの取得を通じて、現地でのデータ取得方法を立証し、SLAMを利用した地上での極小変状確認を行いました。
3.
海中構造物の評価
- ROVを使い水中点検を実施し、視認性や海流に基づいた従来の目視点検との比較検証を行いました。
4.
AIを駆使した異常検出システム
- UAVによる昼夜間の点検で、AIが人物や障害物を検出する有効性を明確にし、長時間運用における飛行時間及びバッテリー消費に関する検証も行いました。
期待される成果
この新しい点検方式によって、維持管理業務の効率が大幅に向上すると期待されています。特に、点群データを用いることで、施工業者は詳細なデータを迅速に取得し、作業時間の短縮が可能となります。また、異常を早期に発見できるため、修繕に伴うコストの削減にもつながるでしょう。これにより、定量的な管理と災害時の復旧計画の策定が容易になり、業界全体としての効率化が図られることが見込まれています。
APEX株式会社の取り組み
APEX株式会社は、2021年に設立されたスタートアップであり、主にドローンやGNSS技術を利用したデータ取得を行ってきました。これらの技術を通じて、インフラ点検、森林計測、構造物の3D化など、さまざまな産業におけるデータ収集活動を展開しており、AIによるデータ解析への取り組みも進めています。今後も技術の革新を通じて、あらゆるデータ取得と解析の自動化を目指して活動を続けていく予定です。