老後資金に対する不安が世代を超えて広がっている現実
日本コープ共済生活協同組合連合会、通称CO・OP共済が最近行った調査によれば、老後の生活資金について、多くの人々が不安を感じていることが浮き彫りとなりました。この調査には、5,094人のCO・OP共済加入者が参加し、その結果は、約90%が「老後のお金に不安を感じている」と答えました。
調査結果の概要
このアンケートでは、老後資金に対する不安の具体的な内容や、日常生活の中での備えの実態が明らかになりました。約6割の回答者が「備えようと思っても実際にはできていない」と回答しており、その背後には「家計状況の厳しさ」があることが分かりました。特に、経済的な余裕がないと感じている世帯では、意識的には備えを考えているものの、行動に移すことができない状況が目立ちます。
老後資金に不安を感じる理由
回答者の声の中には、「子どもの教育費がわからない中で、親の介護が必要になった場合に生活が成り立つか不安だ」や、「年金だけで生活できるかどうか心配」といった切実な悩みも見受けられました。これに加えて、物価の上昇や子どもの養育費など、複数の不安材料が重なる中で、生活費や教育費が主要な焦点となっています。
老後資金に関する意識の調査
調査では、老後資金・生活資金に対して「備えの必要性は感じているが、行動に移せていない」とする人が56.2%に上り、家計状況が良くない世帯ではその割合が82.3%にも達しました。この結果は、経済的な制約が将来の安心感に大きな影響を与えていることを示しており、実際には目の前の生活を優先せざるを得ない家庭が多いことが窺えます。
年齢層による不安の違い
また、アンケートでは年齢層別に老後資金に対する不安が異なることも判明しました。特に若年層では「年金」に対する不安が目立つ一方、60代以上の人々では「医療費・介護費」に対する懸念が強いとされています。これにより、世代間での経済的な不安の具体的な内容が異なることがわかりました。
お金に関する不安以外の要素
お金に関する不安だけでなく、仕事の継続や生きがいを見つけることに関する懸念も多く、回答者の約46.1%が「仕事を続けられるか不安」と答えました。さらに、家族構成によっても不安の内容が変わり、既婚者は「家族との関係」や「生きがいの有無」に敏感であり、未婚者は「一人でいること」や「人間関係の構築」に対する不安を抱えることがわかりました。
終活や家計見直しへの意識
調査結果によると、終活や家計見直しに対する意識は高まっているものの、実際には行動に移すことができていない人が多いことも浮き彫りとなりました。このような背景を受けて、CO・OP共済では来年春に『生協のくらしの困りごとヒント集』にて老後のお金の準備についての情報を整理し提供する予定です。
今後の展望
CO・OP共済は、調査結果を元に商品やサービスの開発を進めていく考えです。高まる老後資金に対する不安に寄り添うためにも、より一層の情報提供や支援を行う必要があります。このような活動が、より良い未来を築く一助となればと願っています。
老後に向けた準備や不安を軽減するためには、今の段階からの意識と行動が求められています。たくさんの人々が老後の生活について考え、備えていくことができる社会が目指されるべきです。
参考リンク
生協のくらしの困りごとヒント集(介護編)が公開されています。今後もこのような取り組みが続けられ、寄り添うことができる情報提供が期待されています。