仙台市が新たな医療・介護サービスの実証実験を開始
仙台市では、医療・介護分野における高精細かつ低遅延の可搬型オンライン会議システムとウェアラブルカメラの活用を目的とした実証実験が始まります。この取り組みは、一般社団法人仙台市医師会およびNTT東日本と協力し、患者の自宅におけるオンライン診療の質を高めることを目指しています。
背景と目的
仙台市では、2023年11月30日から診療カーを利用したオンライン診療サービスが展開され、患者に対面に近い医療サービスを提供しています。診療カーは、遠方に住む患者に自宅での診療を提供するために、医療機器やテレプレゼンシステム「窓」が搭載されています。これにより、通院が難しい患者にも医療が届けられるようになっていますが、特に車いすや寝たきりの患者には診療カーの派遣が難しいという課題がありました。
このため、オンライン診療の質を維持しつつ、患者の自宅に持ち込むことができる可搬型の医療機器の利用が必要とされています。新たなシステムは、これまでの固定型大型機器とは異なり、より柔軟に患者に寄り添った医療を実現することが期待されています。
新たな安全対策
さらに、DtoPwithN型のオンライン診療では、訪問看護や介護の現場においてウェアラブルカメラの利用が促進されています。これは、患者の自宅という閉鎖的な空間で、看護職員と患者が1対1になることから想定されるリスクの軽減を目指します。このカメラによる遠隔見守りが、ハラスメントや虐待の防止に役立つかどうかを検証することもこの実証実験の一環です。
実証の概要
実証実験は2025年2月14日から3月14日までの約1ヶ月にわたり、仙台市内の医療機関、患者の自宅、介護施設などで実施されます。解決すべき課題は以下の通りです:
1.
オンライン診療への活用
診療カーに乗車できない患者へのオンライン診療を提供し、可搬型オンライン会議システムを使用した対応を検証します。
2.
安全対策への活用
訪問看護や介護職員の安全を強化するため、ウェアラブルカメラを通じた見守りやアドバイス支援を行います。
各団体の役割
このプロジェクトには、仙台市、仙台市医師会、NTT東日本が参加し、それぞれが持つリソースや専門知識を相互に活用しながら進めていきます。市は政策面での支援を行い、医師会は医療現場の知識を提供し、NTT東日本は技術的な基盤を整える役割を担います。
今後の展望
地域では医師や看護師、介護職員の人手不足が懸念されています。この課題に対処するため、仙台市はオンライン診療を通じて効率を高め、市民に合った医療・介護サービスを提供していく方針です。実証実験を通じて成功した場合、今後の医療サービスにおいても積極的にこの技術を取り入れる考えであり、持続可能な医療・介護の確立に向けた取り組みをさらに加速させていく予定です。