大阪工業大学での特別な原画展
大阪工業大学(学長:井上晋)の図書館大宮本館ギャラリーで、卒業生で絵本作家のにしかわなおこさんによる原画展が行われています。この展覧会では、昨年11月に出版された絵本『もりやまさんとまちやまさんは』の原画が中心に展示されており、制作過程のスケッチやメモ、ラフ本、さらには現在制作中の作品など、約150点が並びます。会期は8月28日までで、子供から大人まで一般の方も自由にご覧いただけます。
注目のポイント
この原画展は、特にボローニャ国際絵本原画展でファイナリストに選ばれた作品を基にしており、にしかわさんの独特のスタイルが光ります。手描きの素材をスキャンし、デジタル技術を用いて1000~1500層を重ねることで実現された緻密な作風は、一見の価値があります。また、アイデアノートやスケッチ、ラフ本など制作過程の材料を見られるのも魅力です。
にしかわなおこさんの歩み
にしかわさんは学生時代から、気になるものや思いついたことをノートに記録したりスケッチしたりしていました。「ひとめみたらわすれられない。そんなえをかく、ひとになりたい」という思いを胸に描き続け、数々のコンクールに挑戦してきました。2021年には、和歌山県の有田川町絵本コンクールで最優秀賞に輝き、国際的な新人イラストレーターの登竜門ともいえるイタリア・ボローニャ国際絵本原画展でファイナリストに選ばれました。
作品のテーマ
『もりやまさんとまちやまさんは』では、木々が生い茂る「もりやまさん」と建物が立ち並ぶ「まちやまさん」、全く異なる姿を持つ二つの山が描かれています。しかし、彼らはお互いを気に掛け、静かに共生しながら生活しています。その姿からは、共生や多様性の豊かさと大切さが伝わってきます。この作品に込められたメッセージは、やさしさや受容の大切さを考えさせられます。
作成過程の魅力
制作には水彩絵の具と墨汁が用いられ、建物や木を一つずつ手描きした後、スキャナーで読み込み、デジタル上で組み合わせています。山の木を一本一本植える、石垣の石を一つずつ重ねるという方法で、デジタル上での層作りは手の込んだ技術が必要です。今回の原画展では、母校での展示も兼ねており、「後輩の創作活動に役立てば」との思いから、制作の裏側を多くの人に知ってもらえるよう、惜しげもなく作品を披露しています。
展示情報
1.
開催日時:2025年8月28日(木)まで、毎日10:00~17:00。
2.
場所:大阪工業大学図書館大宮本館ギャラリー(大阪市旭区大宮5-16-1)。
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入場方法:一般の方は大学正門横の受付・防災センターで入構手続きが必要です。
4.
その他:図書館の休館日には入場できませんので、詳しくは大阪工業大学図書館のホームページで開館カレンダーをご確認ください。
原画展のチラシなど詳細情報は公式サイトで確認できます。