新作ミステリー『その時鐘は鳴り響く』の魅力とは
日本推理作家協会賞を受賞した著者、宇佐美まこと氏の最新作が、ついに10月31日に刊行されます。この新作ミステリー『その時鐘は鳴り響く』は、彼の過去の作品である『愚者の毒』や『展望塔のラプンツェル』に続く注目作です。
物語は、東京・赤羽の路上での衝撃的な殺人事件から始まります。殺害されたのは、見た目には六十代の資産家。刑事たちが巧みに描かれた捜査の様子が描かれる中、特に初の女性刑事である黒光亜樹は、本庁から派遣された先輩刑事・榎並と共に事件解決に向け奮闘する姿が印象的です。しかし、事件捜査は思わぬ方向へ進み、ストーリーは想像以上に複雑に絡み合っていきます。
現代と過去をつなぐ鍵
物語の転換点として、第三章で登場するのが、岡山で働く国見冴子です。彼女は松山大学時代のサークル仲間たちと共に、母校の解体が決まった部室棟を訪れます。そして、部室で見つけたのは、黒板に書かれた「その時鐘は鳴り響く」という文字。このメッセージは、かつて彼女たちの仲間である高木圭一郎が、失踪する前に残したものとされています。
冴子たちの探索は、30年以上前の悲劇的な事故に関連する過去の真相へと導いていきます。それは四年生の夏合宿で事故死した篠塚瞳との深いつながりを持つ出来事。失踪した高木が、この言葉を何故今になって残したのか、そして瞳の事故との関連はどのようなものなのか、謎が謎を呼ぶ展開です。
壮大な背景と深い人間ドラマ
この作品の魅力は、単なる警察ものではなく、登場人物の心理や過去の出来事が織り交ぜられながら進行する点です。1994年の事故と2024年の殺人事件が交差することで、物語はより複雑に、そして感情的に成長していきます。果たして、冴子たちは真実に辿り着くことができるのか?
宇佐美氏の独特な文体と構成により、読者はいつしか彼らの導く謎解きに没頭。事件解決のための捜査が進む中、過去の悲劇の影が色濃く立ち込め、その真実に迫る姿勢は、多くの読者に共感をもたらすでしょう。
まとめ
『その時鐘は鳴り響く』は、単なるミステリーに留まらず、深い人間ドラマや心理描写を兼ね備えた作品です。宇佐美まこと氏が新たに切り開くミステリーの世界は、一体どのような結末を迎えるのか、ぜひ本書を手に取って、その恐ろしい真実を追体験してください。
書誌情報は以下の通りです:
- - 書名:その時鐘は鳴り響く
- - 著者:宇佐美まこと
- - 判型:四六判並製
- - ページ数:340ページ
- - ISBN:978-4-488-02913-5
- - Cコード:C0093
- - 定価:1,980円(税込)
- - 装画:わじまやさほ
- - 装幀:長﨑綾(next door design)
ぜひ、10月31日の刊行をお見逃しなく!