海洋生分解性プラスチックの新たな可能性
海洋プラスチック問題は、環境保護における重要な課題として国際的に取り上げられています。この背景の中、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は、初めて海洋生分解性プラスチックの評価を行う事業者を認定しました。認定を受けたのは一般財団法人化学物質評価研究機構(CERI)であり、これにより信頼性の高い生分解性試験が実施されることが期待されます。
海洋プラスチック汚染の現状
日本国内外を問わず、プラスチックによる海洋汚染は深刻な問題です。累積的に海洋に存在するプラスチックごみは、海洋生物や生態系に悪影響を及ぼすことが懸念されています。そこで重要なのが、分解可能なプラスチックの利用促進です。しかし、その実施に当たっては、科学的かつ客観的な評価が必要とされます。
NITE認定制度の導入と意義
NITEは、経済産業省が策定した「海洋生分解性プラスチック開発・導入普及ロードマップ」に基づき、昨年からスクリーニングに基づいた試験所の認定制度を導入しました。この制度の創設により、今後はさらに多くの事業者が信頼できる生分解性試験を行うことが可能となります。
認定を受けたCERIは、ISO/IEC 17025に適合した試験を行う能力があると確認されており、国際基準に基づく高品質な評価を提供します。この認定は、今後のプラスチックの海洋汚染に対する解決への大きな一歩とみなされます。
認定試験の概要
CERIが実施する試験には、海洋生分解性プラスチックを対象とした海洋生分解性試験と、コンポスト条件下での生分解性試験が含まれています。これらの試験方法には、ISOやASTMなどの国際標準が適用されており、特に海洋環境での評価が強調されています。
- - 海洋生分解性試験 には、次のような方法が含まれます:
- ISO 18830/19679/23977-1/23977-2
- ASTM D6691
これらは、非浮遊プラスチックの好気的生分解を評価するための試験方法であり、発生した二酸化炭素の分析などを通じて評価が行われます。
期待される成果
NITEの認定により、信頼性の高い生分解性プラスチックの評価が進むことで、さらなる海洋プラスチック問題の軽減が期待されます。また、企業や研究機関の連携によって、革新的な生分解性プラスチックの開発が促進されるでしょう。
まとめ
この新しい認定制度は、海洋環境保護への第一歩と考えられています。海洋生分解性プラスチックの普及には、科学的な根拠に基づいた試験の実施が不可欠であり、NITEの取り組みはその足掛かりとなるでしょう。引き続き、研究機関や企業が協力して取り組んでいく必要があります。