KPMGジャパンは、世界規模の企業5,800社を対象とした「KPMGグローバルサステナビリティ報告調査2024」の日本版を発表しました。この調査は、各企業がどのようにESG(環境・社会・ガバナンス)に関する取り組みを行い、それを報告しているのかを明らかにしたものです。KPMGジャパンの共同チェアマンである山田裕行氏と知野雅彦氏が牽引するこの調査は、日本企業のサステナビリティ報告に対する感度や取り組みの姿勢を示す結果となりました。
調査結果の要点
調査によると、サステナビリティ報告を行う企業の割合は79%に達し、驚くことに日本企業の100%が報告を実施しています。これは世界全体の割合を大きく上回るものであり、特に日本がその中で突出していることを示しています。KPMGジャパンのサステナブルバリューサービス・ジャパンの里深哲也氏は、「日本企業は継続的な情報開示を支えるためのガバナンス体制やシステムの整備が求められている」とコメントしています。
炭素削減目標の強化
調査対象の企業において、80%が炭素削減目標を公表していることも新たなトレンドです。この割合は前回調査から9ポイント増加し、脱炭素に向けた動きが加速しています。特に日本では、58の国・地域の中で唯一、調査対象100社すべてが目標を公表しているという事実もあり、これは日本企業がエネルギー使用や炭素排出に関する法規制に迅速に対応していることを示しています。
生物多様性への取り組み
生物多様性に関する報告を行っている企業の割合も49%となり、この点においても日本は高い数値を示しています。調査対象の中で、日本の企業が生物多様性に関する報告を行う割合は80%に及び、世界で2番目に高い結果を残しています。このことは、エネルギー移行期における自然や生物多様性の重要性を認識する動きの一環として捉えられます。
今後の展望
全体として、KPMGジャパンの調査結果は、日本企業がESGに対する感度や真摯な取り組みを示していることを示唆しています。しかし、複数の開示基準への対応やサプライチェーンの透明化など、企業が直面する課題も依然として存在します。それにもかかわらず、各社がネイチャーポジティブを定義し、実行することが期待されています。今回の調査は、今後のサステナビリティ報告の方向性を示す重要な資料となるでしょう。
KPMGとは
KPMGは、監査、税務、およびアドバイザリーサービスを提供する国際的なプロフェッショナルファームです。世界143か国以上にわたるメンバーファームを通じて、273,000人以上の専門家が活動しています。日本においても、複数の子会社を通じて様々なサービスを展開しており、各分野での信頼性高い業務を続けています。