救急救命士の役割拡大に向けた規制改革の答申
5月28日に行われた第23回規制改革推進会議において、救急救命士が行える救急救命処置の範囲拡大に関する答申が決定されました。この答申は、一般社団法人日本救急救命士会(JELSTA)や関連する医療団体との議論を踏まえて作成されたもので、救急医療の質向上を目指しています。
救急救命処置の見直し
答申では、救急救命士が行う処置について、現在の範囲に留まらず、不断に見直すことが必要であると強調されています。この見直しの中で特に重要視されているのが下記の5つの処置です。
1.
心肺停止に対するアドレナリン投与の包括指示化
2.
アナフィラキシーの筋肉内投与
3.
気管切開チューブの再挿入
4.
12誘導心電図の測定と伝送
5.
自動式人工呼吸器の使用
これらの処置は、救急医療の迅速な対応を実現するために必須とされており、今後の検討が期待されています。
新たな救急救命処置の評価
現在、検討委員会が「未了」としている新たな救急救命処置の候補についても評価が求められています。以下の6つの処置が候補とされています。
1.
トラキサネム酸の静脈内投与
2.
医師によるアドレナリン投与
3.
ビデオ硬性挿管用喉頭鏡の使用
4.
卵膜の用手的な破膜
5.
グルカゴン粉末製剤の点鼻投与
6.
骨髄穿刺を用いた薬剤投与
これらの処置が実施可能になることで、救急の現場における対応力が大きく向上すると期待されています。
今後の検討課題
新たな処置を救急救命処置の範囲に加えるためには、先行的な実証が必要とされています。消防庁は厚生労働省の求めに応じて協力し、助言を行う方針です。また、関連団体からは、静脈路確保や非侵襲的人工呼吸などの新たなニーズに対する提案が寄せられています。
日本救急救命士会の意義
日本救急救命士会は、高齢化社会に伴う搬送患者数の増加や医師の業務負担軽減を目指して設立されました。救急救命士法によって活動範囲が医療機関内に広がったため、救急救命士には新たな役割が期待されています。このような背景のもと、救急医療の質を向上させ、国民の安全と安心を確保するために、多様なニーズに応える努力が続けられています。
会員募集中
現在、日本救急救命士会では正会員および賛助会員を募集しています。興味のある方は、公式ホームページまたは入会案内サイトを訪れてみてください。
日本救急救命士会 入会案内サイト
日本の救急医療は今、大きな転換期を迎えています。救急救命士の役割拡大が、国民の信頼と期待に応えることを願っています。