災害対策の新たな一歩:土砂災害早期検知センサ
日本は、頻繁に豪雨が襲う国であり、これに伴う土砂災害は大きな脅威となっています。特に、土壌による表層崩壊は深刻な問題であり、その早期検知が求められています。これまでの技術では、土壌水分と斜面傾斜を同時に計測することが難しく、特に水分を多く含む土壌では精度が低下するという課題がありました。しかし、このたび、東京都立産業技術研究センター(都産技研)と大起理化工業株式会社が共同開発したセンサがおその課題を克服しました。
センサの特長と技術の革新
新しく開発されたセンサは、水分の多い土壌においても高い精度で土壌水分と傾斜を同時に計測することができる点が特長です。具体的には、センサの側面方向から水分の誘電率を正確に測定する電極構造が特許出願中で開発されています。また、0.01度の分解能を持つ傾斜センサを内蔵しており、異なる深さでの計測を可能にしています。この技術的進歩により、崩壊の前兆を捉える際の暫定基準値である0.02度/hourをもとに、土砂崩れのリスクを早期に察知することができます。
地域防災に貢献するメリット
このセンサ技術の導入により、以下のようなメリットが期待されています:
- - 水分の多い土壌を高精度で測定できることにより、より正確な土砂災害のリスク評価が可能に。
- - 大規模な掘削作業が不要となり、設置やメンテナンスが簡易化されること。
- - 最大で全長2m程度の深さまで異なる深さでのデータ取得ができ、立体的なリスク分析が行えるようになります。
今後の展望と販売計画
この画期的なセンサは、2025年の危機管理産業展でのデモ展示が予定されています。また、大起理化工業株式会社からは9月に販売が開始される見込みです。
土砂災害による被害を未然に防ぐための新技術として、地域の防災対策に大きく寄与することが期待されているこのセンサ。今後の展開に注目です。
この技術が普及することで、多くの命と財産が守られることを願っています。