中小企業のストレスチェック実施はわずか2割、従業員の人間関係が最大の悩み

中小企業におけるストレスチェックの実態

NSSスマートコンサルティング株式会社が行った「中小企業のストレスチェックの実態」に関する調査は、特に注目される結果を示しました。調査は従業員50名未満の企業を対象にし、労働環境におけるストレスの実態について深掘りを行っています。

調査の背景

近年、精神障害による労災認定が増加していることから、ストレスチェック制度が重要視されていますが、その実施率は依然として低いのが現状です。実験的に実施されている企業は約2割にしか達しておらず、その大半は実施したことがないと回答しました。

実施状況の詳細

調査結果によれば、ストレスチェックを定期的に行っている企業はわずか10.1%。不定期でも行っている企業は8.2%で、実施していない企業が75.9%に上ることが分かりました。この事実は、特に従業員数が少ない企業でのストレスマネジメントが遅れていることを示唆しています。

実施している企業の多くは、年に1回の頻度でストレスチェックを行っており、結果を個人へのフィードバックや職場環境の改善に利用しています。

ストレスの要因とは

次に、従業員が実際にどのような要因でストレスを感じているかを質問しました。その結果、最も多い回答が「人間関係」で、全体の40.3%がこの点を挙げています。「評価や報酬への不満」が22.3%、「失敗したとき」が20.4%と続きました。

相談窓口の設置状況

ストレスやパワハラに関する相談窓口が各企業にどれだけ設けられているかを尋ねたところ、実際に存在していると回答したのはわずか13.5%。大多数の78.0%が「ない」と回答しました。これは、職場でのストレスや問題を抱える従業員が気軽に相談できる環境が整っていないことを怒としました。

転職を検討する理由

また、ストレスが原因で転職を考えたことのある方は6割を超えており、相談する前に転職活動を開始する傾向が見られました。理由としては「相談しても適切に対応してくれない」との不安が最も多く挙げられ、624.0%がこの点を指摘しました。相談しない理由には、相談後に仕事がやりづらくなる不安も多く含まれていました。

改善点の希望

「会社に残りたい理由」として挙げられたのは「給与や待遇の改善」が50.2%と最多であり、続いて「職場環境の整備」や「業務量の適正化」も重要な要因となっています。これらの要望が叶えられれば、従業員は会社に留まる意欲も高まることでしょう。

まとめ

この調査から見えてきたのは、中小企業でのストレスチェックの実施率が極めて低く、職場の人間関係が大きなストレス要因であることです。企業は従業員が抱えるストレスを軽減し、満足度を高めるために、ストレスチェックを有効に活用し、相談窓口の整備と組織の改善に努めていく必要があります。

今後は、企業側の適応力が従業員の離職率にも大きく影響することが考えられます。従業員が安心して働ける環境の整備が急務であると言えます。