国際出産イニシアティブ認証取得
長野県伊那市に位置する菜の花マタニティクリニックが、2024年9月に安全で快適な出産環境を提供する「国際出産イニシアティブ(ICI)」の認証を取得しました。この認証は、日本で初めてとなるもので、助産師を主体とした周産期管理の実施や、母子とその家族を大切にする姿勢が評価された結果です。
国際出産イニシアティブとは
国際出産イニシアティブは、2018年に国際産婦人科連合など5団体によって設立され、世界保健機関(WHO)のガイドラインに基づいた安全な出産体験を促進するための12のステップを提唱しています。これにより、出産ケアの質を向上させることを目指しています。世界中で30か国以上の出産施設がこの取り組みに参加し、妊産婦や家族のフィードバックを基にしたケア改善に努めています。
日本における状況
日本では出産の99%が医療施設で行われており、合計特殊出生率は低迷しています。特に伊那市では、出生率が2016年度から2022年度にかけて激減しました。このような中で、菜の花マタニティクリニックは2015年に開院し、約350件の分娩を行っています。助産師とのコミュニケーションを重視した体制を整え、妊娠から産後に至るまで切れ目のない支援を提供しています。
単なる医療にとどまらないケア
菜の花マタニティクリニックでは、助産師外来を積極的に設置し、妊娠中および産後の健康管理に注力しています。特に、フットマッサージを産後の入院患者全員に実施し、入眠促進や不安軽減に寄与する取り組みが評価されています。看護師長の赤羽洋子助産師は、「妊娠生活の質を向上させることで、女性が命を育み喜びを感じられるようになる」と話しています。
国際的なネットワークへの参画
国際的な協力を通じて、菜の花マタニティクリニックは他国の取り組みについても学び、ケアの質向上に努めています。申請の過程を通して、他者からのフィードバックを受けることが重要だと実感しており、スタッフのモチベーション向上にもつながっています。これにより、地域の母子の健康を守ることが期待されています。
地域への貢献
菜の花マタニティクリニックは、地域のニーズに応じた多様な母子サービスを提供しており、今後も国際的な基準に基づくケアを通じて、地域社会に寄与していく所存です。また、経済的な課題をかかえる妊産婦にもアクセスしやすい環境を整えることを重視しており、そのためには継続的な努力が不可欠であると認識しています。
結論
長野県の菜の花マタニティクリニックの国際出産イニシアティブ認証取得は、日本の出産ケアの質向上に向けた重要な一歩です。安全で尊重される出産体験を提供し、地域の母子の健康を守るための取り組みが期待されます。今後も、このクリニックが提供するケアの質が一層向上し、多くの妊産婦にとって心強いサポートとなりますように。