ガザ地区で亜栄養状態が急増、緊急支援を訴える医療団体の声

ガザ地区で亜栄養状態が急増

パレスチナ・ガザ地区は、急性栄養失調の患者が急増しており、その状況はかつてない危機に直面しています。国境なき医師団（MSF）の報告によると、同地域での栄養失調患者数はこれまでで最も多く、特に妊娠中や授乳中の女性、そして幼い子供たちが深刻な影響を受けています。

患者数が急増する診療所

ガザ南部のマワシ診療所と北部のガザ市診療所では、栄養失調の患者数が急激に増加しています。この数ヶ月で、MSFが受診した妊娠中や授乳中の700人以上の女性と、500人近い重度または中程度の栄養失調の子どもたちが治療を受けています。特にガザ市の診療所では、589件から983件に患者登録が増え、状況が深刻化していることが示されています。特に生後6か月から23か月の乳幼児が326件を占めており、彼らの健康状態は極めて危険です。

食料援助の必要性

MSFのガザ副医療コーディネーターであるムハンマド・アブ・ムガイシーブ氏は、「ガザでこれほどの規模で栄養失調が発生するのは初めてであり、飢餓は意図的に引き起こされています。イスラエル当局が必要な食料の搬入を許可すれば、即座にこの状況を改善できるはずです」と語っています。しかし、実際には食料の搬入が著しく制限されており、状況はさらに深刻化しています。

社会インフラの崩壊

ガザ地区全体では、社会インフラが崩壊し、下水道からの汚染が進行し、清潔な水の供給が滞っています。この影響で人々の免疫力は低下しており、健康への悪影響が広がっています。また、医療も限られた状況で行われており、妊婦や新生児の死亡率が増加しています。医療関係者は「妊婦から栄養失調が広がり、早産も多発しています」と警鐘を鳴らしています。

食料価格の高騰

ガザ全域で食料価格が急上昇し、基本的な食料品ですら手が届かないほど高額になっています。世界食料計画（WFP）によると、例えば砂糖1キログラムは平均76米ドルに達し、ジャガイモや小麦粉も30米ドル近くに及びます。このため、多くの家庭では1日1食でやりくりし、必要な栄養が不足しています。親たちは、食事を削ってでも子どもに食べさせようとし、栄養治療食を子どもに与えるケースも見られています。