保定可能な犬型医療シミュレーター「しばわん」
2025年5月、岡山県岡山市を拠点とする株式会社anifullと倉敷芸術科学大学が共同で開発した犬型医療シミュレーター「しばわん」が発売されます。この製品は、動物医療に携わる学生や専門家が実践的なトレーニングを行うために設計されています。
開発の背景
「しばわん」の開発は、2019年に制定された愛玩動物看護師法に起因しています。この法律により、獣医師の指導のもとで行える新たな国家資格、愛玩動物看護師が創設されました。これに伴い、必要な技術を身に付けるためのシミュレーターが求められていました。
これに応える形で、2023年には猫型の採血シミュレーター「ねこにゃん」が発売され、その後多くの教育機関からの要望を受け、犬型バージョンである「しばわん」の開発に至ったのです。
「しばわん」の特長と機能
「しばわん」は、学生や医療従事者が保定や処置の練習を通じて、実践に即した技術を習得できるように設計されています。以下はその主要な機能です。
1. 保定しながらの処置練習
このシミュレーターは、保定をしながらの採血や静脈注射など、実践的なトレーニングをサポートします。特に、非常にリアルな血管チューブを使用しており、感じられる穿刺感が評価されています。チューブを交換することで繰り返し使える点も、教育現場での利便性を高めています。
2. 静脈注射の練習
頸静脈や橈側皮静脈など、犬の異なる静脈部位での練習が可能です。合計6か所に血管チューブが配置されており、多様な角度からの注射トレーニングが行えます。
3. リアルな生体に近い処置の練習
約3kgの重さを持つ「しばわん」は、リアルな体重感覚を提供します。また、口や気管、耳などの処置が可能な形状になっており、実際の動物に即したトレーニングが行えます。
利用シーンと使い方
「しばわん」は、様々な動物医療現場での利用が見込まれています。以下は具体的な使用方法です。
気管挿管の手順を学ぶ
口を簡単に開けられる設計で、気管挿管のトレーニングが可能です。また、投薬練習にも対応しており、医療従事者は実際の現場を想定した育成が行えます。
肛門や耳穴での処置を学ぶ
深さ5cmの肛門再現や耳穴における処置方法を習得することができます。体温計や耳鏡を使った処置練習も行うことができます。
目の処置方法を学ぶ
目のパーツは実際の目に近い形になっており、点眼や眼圧測定などの検査をシミュレーションすることで、リアルな医療体験が可能になります。
製品概要
- - 商品名:保定のできる犬型医療シミュレーター『しばわん』
- - 発売日:2025年5月
- - 価格:48,100円(税込)
- - サイズ:全長70cm、体長50cm、体高35cm
「しばわん」は、実際の動物医療の技術を習得するために、非常に実用的かつ効果的なツールとして期待されています。教育機関や医療現場での利用を通じて、犬型医療シミュレーターが新たなトレーニングスタンダードを築くことが予想されます。