昭和書体の魅力
2016-07-04 09:10:01
80歳書家が揮毫した昭和書体の魅力とは?
昭和書体の誕生と綱紀栄泉の情熱
昭和書体は、80歳の書家、綱紀栄泉氏によって誕生した書体群です。彼が手がけた41種類の毛筆フォントは、現代のニーズに応えるために、時間をかけて揮毫されたものです。何と、約29万字にも及ぶ文字が書き分けられており、その努力には驚かされます。
綱紀氏は、書家としての人生を歩みながら、仏縁の影響を受けながら育ちました。そんな彼が、手書きの技術をデジタルへと変換するプロジェクトに取り組んできた背景には、時代の推移による伝統技術の衰退への危惧がありました。彼自身、毛筆書体を書きこなせる職人がいなくなるのではないかと感じており、手書きの良さを未来に残したいという思いが強かったのです。
毛筆の良さをデジタルへ
広告業界が進化し、機械化が進む中で、手書きの文字が減少していくことに対する危機感から、綱紀氏と彼の周囲の人々は行動を起こしました。彼の揮毫した毛筆諸本をデジタル化し、後世に残すための書体開発を開始しました。このプロジェクトが「昭和書体」という社名で進められたのは、手書きの良さを伝え、文化を次世代へと引き継ぐためです。
現代に伝わる伝統のシルエット
完成した昭和書体のフォントは、PCフォントでありながらまるで直筆のようなリアルな掠れや筆勢を持っています。この特性により、「わが社のデザイナーが手書きしました」とクライアントに伝える業者も出てきています。これは、デジタル技術が進化しても、書家の力を感じることができるため、多くのクリエイターに支持されています。
特に「昭和楷書」「銀龍」「闘龍」「黒龍」「陽炎」の5種類は、2016年に「MORISAWA PASSPORT」で新たにリリースされ、デザインの現場で重宝されています。これらのフォントは、毛筆ならではの特徴を活かしており、商業デザインだけでなく、個人の創作においても多くの可能性を持っています。
綱紀栄泉氏の挑戦
齢80歳になった綱紀栄泉氏は、現在もさらに多くの書体を揮毫し続けています。彼の情熱は年齢を感じさせないものであり、常に新しい挑戦を続けています。これからも彼の作品がどのように進化していくのか、目が離せません。
昭和書体は、ただのフォントではなく、文化や伝統を象徴するもの。手書きの温かみや、筆で表現される力強さが、現代のデジタル社会においても重要な要素であると感じる種の存在です。彼のフォントを通じて、書の魅力が再評価される時代が訪れることを願っています。
会社情報
- 会社名
-
株式会社昭和書体
- 住所
- 鹿児島県薩摩郡さつま町船木210-28秀和館1号館106
- 電話番号
-
0996-26-0650