井上尚弥選手は、11月4日にWOWOWで放送される『エキサイトマッチSP』の収録に出演。この中で、9月3日に行われたTJ・ドヘニー選手との防衛戦を振り返ります。この試合は、井上選手が7回16秒にTKO勝ちを収め、王座防衛を果たしたものでした。
井上選手は試合を自己解説し、「後半にペースを上げて仕留める計画だったが、消化不良感もあった。しかし、この試合で冷静に戦えたことは収穫だった」とコメント。このように、計画通りに行かなかった点もあったものの、冷静さを保てたことを明言しました。
試合前の準備として、井上選手はドヘニー選手の過去の試合データを注意深く分析。直近の3試合をすべてKOやTKOで終了させているドヘニー選手に対して、決して軽んじることなく、徹底的に準備を行いました。また、体重増加に関しても注目しました。ドヘニー選手は計量後の増量が著しく、前日計量後1日で約11㎏も戻しました。井上選手はこの状況を事前に想定していたため、大きな影響は感じていなかったようです。
井上選手は、試合中に父親でありトレーナーの真吾氏から提示された「丁寧に、慎重に」というアドバイスを常に念頭に置きました。「相手のパンチの軌道や距離を注意して見極めていた」と語りながら、サウスポーの挑戦者に圧力をかけていったのです。
試合は、相手の出方を様子見しながらスタート。しかし初回から動きが鈍いことを感じた井上選手は、積極的に攻撃を仕掛けていきます。中盤の3回と4回では手数を控えたため、一部ジャッジにはポイントを与えられましたが、井上選手自身は「打たせて打たせていたので、難なく乗り越えられると思っていた」と振り返っています。
5回目以降、ドヘニー選手の息遣いが荒くなっているのを感じ取った井上選手は、再度攻撃を強化していきました。6回にはボディと顔面に強打を分けて打ち込むなど、試合の流れをつかんでいきます。迎えた7回、ドヘニー選手はロープ際で姿勢を崩し、試合を中断しました。この瞬間、レフェリーが井上選手のTKO勝ちを告げました。
井上選手はこの勝利により戦績を28戦全勝(25KO)とし、日本の歴代世界王者の中で最多勝利を達成しました。「自分もここまで来たのかと、なんとも言えない感慨を感じます」と彼は語ります。
次回の防衛戦は12月24日に東京で開催される予定で、IBFとWBOで1位ランクのサム・グッドマン選手を相手に戦う予定です。さらに2025年には海外を含む3試合を視野に入れており、その中には中谷潤人選手との夢の一戦についても触れています。「彼は非常に強い選手なので、対戦に興味が湧いている」と井上選手は力強く述べました。
視線が集まる井上選手の今後の動向と共に、さらなる活躍から目が離せない状況です。
この『エキサイトマッチSP』は、11月4日午後9時にWOWOWで放送され、井上選手の解説を交えつつ、他の日本人選手の試合もお届けします。