金融庁のAI官民フォーラム、第3回開催の議事要旨と今後の展望について

金融庁のAI官民フォーラム、第3回開催の概要


令和7年11月5日(水曜日)、金融庁はデータ活用に関するAI官民フォーラムの第3回をオンラインで開催しました。

1. フォーラムの目的と議題


今回のフォーラムでは、データ利活用における個人情報保護やAIのリスク管理が主な議題でした。特にプレゼンテーションを通じて、個人情報の取扱いとリスク管理の在り方について深く掘り下げていくことが目的とされていました。

2. 議事内容の概要


2.1 個人情報保護に関する議論

個人情報保護については、高松氏によるプレゼンテーションが行われました。彼は、マーケティングや信用スコア、不正検知など、顧客情報を深く活用する場合と、業務や事務の効率化といった浅い利用について法的な検討が必要な理由を説明しました。具体的には、個人情報の利用目的の明示が法における重要なポイントであり、統計データへの加工が利用目的とされづらいことも述べられました。また、外部との連携に関連する規律についても語り、特に外国への情報移転については厳重な管理が求められると警鐘を鳴らしました。

2.2 AIの運用とリスク管理

AIモデルの適切な運用やリスク管理に関しては、AIの推進に際し、リスク管理の明確化が難しいとする意見が多く寄せられました。このリスク管理の具体的な手法について、金融機関からの事例共有があり、企業間での知見の共有が進められることが求められています。さらに、竹之内氏がプライバシー保護に関する技術、PETs(Privacy Enhancing Technologies)について紹介し、様々なアプローチでリスクを低減する方法について説明しました。

3. 各金融機関の取り組み


大和証券グループの板屋氏は、生成AIの利用に向けた取り組みを語り、同社ではすでに社内で多くの業務に生成AIを応用していることを明らかにしました。2025年度にはAIエージェントを顧客向けサービスに拡大する計画を示し、AIガバナンス委員会を設置してリスク評価や対策を行うなど、会社の体制を整えています。
また、藤井氏は2024年4月から全社的にAIを活用する体制を構築することを発表し、生成AIが顧客とのインタラクションにどのような影響を与えるかについて警鐘を鳴らしました。AIが提供するアドバイスを信頼できるものにするために、顧客理解を深める必要があると強調しました。

4. パネルディスカッションの結果


参加した企業の多くが、AIのリスク管理に苦心している現状を共有。特にハルシネーション(不正確もしくは虚偽の情報生成)や、技術進展に伴う規制の必要性が浮き彫りになりました。各社は一線のリスク感度を高め、現場からの知見を活かすことで、リスクの扱いを改善する方向で意見を交わしました。

5. 今後の展望


金融業界全体がAIを有効活用するためには、具体的なガイドラインの整備やベストプラクティスの共有が求められています。AIの進化に合わせ、官民連携の取り組みが一層重要となってくるでしょう。金融庁は引き続きフォーラムを通じて、社会全体のAI利活用を促進していくことが期待されます。

このように、金融庁のAI官民フォーラムは個人情報の適切な取り扱いやリスク管理についての重要な議論を蓄積しつつ、今後のAI活用のあり方を模索しています。

関連リンク

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