新しいデスゲーム小説の世界へ
7月18日(金)、集英社みらい文庫から発売された『ぼくたち学校不適合者です ワルイコは消される!? 極限デスゲーム』。
著者は人気シリーズ『迷宮教室』で知られるあいはらしゅう氏で、イラストには日野杏寿氏が手がけています。
この作品は、小学生が法律によって「悪い子」に認定され、矯正施設に送られるという異例の設定を持ったデスゲームの物語です。
物語の舞台
本作の主人公は小学6年生の結斗(ゆいと)。彼はクラスメイトをイジメから救ったものの、濡れ衣を着せられ、矯正施設【最後の学校】へ送致されてしまいます。この施設は、悪とされる子どもたちが集められ、過酷なルールに基づいて生き残りをかけた授業が展開される場所です。
一見、単なるデスゲームのように思えるこの物語は、実は「悪とは何か?」という深い問いを投げかける作品となっています。「大人の定めたルールに従わなければ『消される』」「生徒同士で罪の重さを比べる」など、極限状態での教育がどのように人間性に影響を及ぼすのかが描かれます。
キャラクターたちの個性
物語に登場するのは、全てが“問題児”である生徒たち。特に、凶悪な教師・賽河原鬼郎(さいがわらおにろう)を筆頭に、各キャラクターが濃密な個性を放っています。著者のあいはら氏は、中学校の司書として現場で子どもたちと向き合う中で得たリアリティをこの作品に反映させています。
ビジュアルの魅力
イラストを担当する日野杏寿氏は、圧倒的な画力でキャラクターたちの緊迫した表情や異様な雰囲気をリアルに描写しています。また、本作の巻頭には日野氏による10ページの描き下ろしプロローグ漫画が収録されており、読者は漫画と小説の両面から物語の世界に没入できます。
あいはらしゅう氏からのメッセージ
本作のテーマは非常に深く、あいはら氏は「学校不適合者」という言葉に対して丁寧に向き合っています。「なぜこの言葉に傷ついたのか?」と問いかけ、学校に適合できないことが本当に悪なのかという視点を提示しています。さらに、社会の中で何が悪なのかを考えるきっかけとなる作品を目指していることが伝わってきます。
最後に
『ぼくたち学校不適合者です』は、単なるエンターテイメントとしてのデスゲームに留まらず、読者に重要な問いを投げかける作品です。結斗と共に「悪」とは何かを考え、教育の在り方について思いを巡らせることができる貴重な読み物です。ぜひ、手に取ってみてください。
書誌情報
- - 書名:『ぼくたち学校不適合者です ワルイコは消される!? 極限デスゲーム』
- - 作:あいはらしゅう
- - 絵:日野杏寿
- - 発売日:7月18日(金)
- - 定価:770円(10%税込)
- - 判型:新書判ソフトカバー
- - 頁数:192ページ
- - ISBN:978-4-08-322014-2