インドは、世界で最も人口が多く急速に経済成長を遂げる国ですが、同時に大気汚染やエネルギーインフラの不均衡といった重要な社会問題にも直面しています。この状況を打開するために、大阪ガスは長年の経験をもとに都市ガス事業を展開し、天然ガスインフラの整備に乗り出しています。特に、南部と北中部において、それぞれAG&P事業エリアとThink Gas事業エリアを設け、都市ガスの普及を促進しています。
現在、これらの事業区域はインド全土のおおよそ1割にあたる壮大な面積をカバーしており、日本の国土の約90%にも匹敵します。大阪ガスは、すでに約10万世帯に天然ガスを供給しており、約9,900km以上にわたるパイプラインを整備しています。これにより、同社は日本以外で展開する都市ガス事業においても最大の規模を誇ります。
一方で、インドの大気汚染は深刻な状態です。特に北部では大気汚染指数が世界ワーストレベルを記録しています。これまで多くの工場では、安価な石炭が主要な燃料として使われてきましたが、天然ガスはクリーンなエネルギー源として注目されています。CO2の排出量も少なく、地球温暖化の抑制に寄与することが期待されています。
大阪ガスは、鴻池運輸との提携により、インド国内でのインフラ整備をさらに進めることを計画しています。これによりCNG(圧縮天然ガス)ステーションや天然ガス導管網が整備され、交通、家庭用、業務用、産業用などさまざまな分野で天然ガスの普及が見込まれています。
特に注目されるのが、450以上のCNGステーションの設立です。CNGは従来のガソリンやディーゼルに比べてCO2排出量を約25%も抑制することができ、経済的にも燃料コストを30-40%削減できるため、環境と経済の両方に貢献する手段となります。
大阪ガスは、中期経営計画2026の一環としてアジアでのエネルギーインフラや再生可能エネルギーの開発を進めており、インドはその重要な市場です。2021年からの進出以来、現地の都市ガス会社と協力し、安全な天然ガスの供給体制を整えています。
引き続き、大阪ガスは鴻池運輸をはじめとするパートナー企業と密に連携し、インドでの天然ガス事業の拡大を進め、大気汚染改善や持続可能な社会の実現に向けた取り組みを続けていく意向です。