介護の質向上が期待されるアシストスーツ導入の効果とは
福祉・介護の現場にとって、身体的負担の軽減は非常に重要なテーマです。特に、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や重度障害を抱える方々の介護においては、介護者自身が直面する課題は多岐にわたります。この度、東京理科大学から生まれたスタートアップ、株式会社イノフィスが製造した『マッスルスーツ Soft-Power』が、陽なたスマイルケア株式会社に導入された事例を通じて、介護現場の変化を探ってみます。
課題を抱える介護現場
在宅介護を行う陽なたスマイルケアは、千葉県内でALS等の進行性難病に苦しむ方々へサービスを提供しています。ALSは進行と共に身体機能が低下し、自力での動作が困難になります。これにより、介護者は全身を支える形で移動や体位変換を行わざるを得ず、特に腰には大きな負担がかかります。限られた居住空間では、動きにくさに加え、無理な姿勢を強いられることも多々あります。結果、腰痛に悩む介護者も少なくありません。さすがにサポーターやコルセットを使用しても、十分なサポートにはならず、より効果的な対策が求められていました。
アシストスーツの導入
そこで、陽なたスマイルケアでは職員の負担を軽減するため、アシストスーツの導入を決定しました。様々な候補から、最終的にイノフィス社の『マッスルスーツ Soft-Power』に辿り着きました。このスーツは、軽量で装着が容易なことから、高い評価を得ており、日常使用でも負担にならない設計がされています。実際にスーツを着用したヘルパーは、「姿勢を維持しやすく、特におむつ交換や体位変換時の腰の負担が大幅に減った」と報告しています。
介護者の健康が生む安心感
導入後、ヘルパーたちは腰痛の軽減を実感し、身体的な負担が減ることで、より質の高い介護が可能になったと口を揃えます。このように、アシストスーツの役割は介護者の健康を守り、ひいては利用者のQOL向上にも貢献するものとされています。今後、職員の負担を軽減し、退職リスクを下げることで、安定したサービス提供が実現することが期待されています。
アシストスーツの具体的な機能
『マッスルスーツ Soft-Power』は、電源不要で多様な作業シーンで活躍します。人工筋肉のアシスト技術を取り入れ、腰への負担を35%軽減することが実証されています。介護現場における長時間の作業や、持ち運ぶ際の負担を軽減してくれる重要な存在となっています。バランスの取れた設計で、職員が快適に働ける環境を提供します。製品の希望小売価格は59,400円(税込)で、幅広いサイズに対応し、150cmから190cmの身長に適しています。
未来の介護の形
最終的に、陽なたスマイルケアは『訪問介護みかん』の取り組みにより、よりよい職場環境を構築し、ヘルパーが安心して働ける職場にしていく計画です。介護者が健康的に働くことで、利用者に対しても高品質なサービスを提供できる環境が整うことが期待されます。
この取り組みを通じて、介護現場における新たなワークスタイルの確立が進み、多くのヘルパーが志望するような職場を目指すことになります。これにより、介護業界全体の底上げにも寄与することでしょう。