デジタル庁が推進する地方公共団体情報システムの文字標準化

デジタル庁が進める地方公共団体情報システムにおける文字標準化

デジタル庁は、地方公共団体の情報システムにおいて文字の標準化を進めています。この取り組みは、行政事務の効率化や住民サービスの向上を実現することを目的としています。特に外字の標準化に焦点を当てており、これによりデータ管理や情報連携を容易にすることを目指しています。

文字標準化の必要性

標準化の背景には、地方公共団体が使用する外字の存在があります。外字は、文字の形や線の長さによって異なる文字データを指し、特に人名に多く使用されます。これが原因で、公的機関における入力ミスや確認ミスが発生しやすく、大きな負担となるケースが増えていました。また、外字の誤使用が詐欺行為などに悪用されることもあり、早急な解決が求められています。

外字の課題

外字に関する主な課題としては、以下のようなものがあります。
1. 外字作成コスト: 地方公共団体ごとに異なる外字を作成・維持する必要があり、これが職員や住民の負担となります。
2. 住民票の発行遅延: 外字を使うことで住民票の即日発行ができず、住民へのサービス提供に影響が出ます。
3. 情報連携の阻害: 異なるシステム間における情報の整合性が保たれず、データ連携に支障を来します。
4. ベンダーロックイン: 外字は特定のシステムに依存しやすく、他社製品やサービスへの移行が困難になります。

標準文字の策定と導入

デジタル庁は、地方公共団体が使用する情報システムの共通化に向けて、法務省の調査を基に約70万字を整理し、「行政事務標準文字」を定めました。この標準文字は、住民サービスに必要な様々なデータを一元化し、効率的な行政サービスを実現します。特に法務省が整備した「文字情報基盤（MJ）」の文字を基にしており、国際標準化の検討も進んでいます。

今後の展望

今後、2023年度に「地方公共団体情報システムにおける文字要件の運用に関する検討会」が設置され、2024年度以降には「有識者会議」が開催されます。これにより、標準化の運用に関する課題を引き続き検討していく予定です。2025年度からは各種証明書や郵送物に標準化された文字が順次使用されるようになります。これに伴い、氏名が外字で登録されている住民は、証明書や郵便物で異なるデザインの文字を目にすることになります。