広島原爆の日に捧げる哀悼の思いと未来への誓い

令和7年8月6日、広島市で原爆死没者慰霊式と平和祈念式が開催されました。この日は、80年前に広島に原子爆弾が投下され、数十万の人々が命を失うという痛ましい出来事があったことを思い起こさせる日です。当時を生き抜いた方々にとっても、未だにその影響は深刻であり、総理大臣は原爆の犠牲者に哀悼の意を示し、今なお苦しむ被爆者の方々に心からのお見舞いを申し上げました。

総理の挨拶の中で、彼は原爆投下当時の状況を振り返りました。かつての広島は、ふるさとの思い出や生活があった場所ですが、爆弾の爆発によって一瞬で痛ましい焦土となり、その後の歴史が大きく変わってしまったことに嘆きを表現しました。特に、一般市民が多くの命を失ったことを挙げ、夢や未来が一瞬にして奪われたとその衝撃を語りました。

また、広島と長崎の悲劇を二度と繰り返さないことが、我が国の使命であると総理は強調しました。非核三原則を守りつつ、国際社会に対して「核兵器のない世界」を実現するための取り組みを先導する責任があると訴えました。現在、米国やロシアをはじめとする国々の間で核軍縮に対する対立が深まりつつあり、安全保障の環境はますます厳しくなっていますが、だからこそ、核兵器不拡散契約（NPT）を基にした対話と協調の重要性を再認識しています。

総理は、来年のNPT運用検討会議に向け、各国に対話を呼びかけるとし、「ヒロシマ・アクション・プラン」に基づいて、核兵器保有国と非保有国が協力すべく具体的措置を探り続ける意向を示しました。被爆の実情を正確に理解することが、核廃絶を志向する上で不可欠であるとし、特に昨年、ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会に敬意を表しました。

現在、被爆者の平均年齢は86歳を超え、次第に戦争を知らない世代が増えてきています。この歴史を風化させず、未来に伝えていく使命を改めて感じさせられたと語ります。また、広島平和記念資料館を訪れる人々が増え、昨年度は入館者数が200万人を超え、その中で3割以上が外国からの訪問者であったことを報告し、世界に向けて被爆の実相を広める努力を継続します。

さらに、「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」が施行から30年を迎え、被爆者への支援策を強化していくと約束しました。今後も、高齢化が進む被爆者に寄り添った医療や福祉への支援を進めていく中で、政府が果たすべき役割が極めて重要です。

最後に、広島において「核戦争のない世界」及び「核兵器のない世界」を実現するために全力を尽くすことを誓いました。犠牲者の苦しい歴史に耳を傾け、関係者、遺族、被爆者と共に歩みを進めていく姿勢を改めて確認しました。これからも、この備えが未来を守る礎になり、次の世代に引き継がれていくことを心から願っています。