コスモ石油とエバー航空、持続可能な航空輸送に向けた新たな一歩
2023年、コスモ石油マーケティング株式会社とエバー航空は、持続可能な航空輸送の推進を目的としたSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)の売買契約を締結しました。この契約により、関西国際空港でのSAF供給が実現し、エバー航空にとって関西エリアでのSAF契約は初の取り組みとなります。
国内初の大規模SAF生産
今回取引されるSAFの製造は、2021年にNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成を受けたプロジェクトの成果です。このプロジェクトは「国産廃食用油を原料とするSAF製造サプライチェーンモデルの構築」を目指しており、国内で初となる大規模な国産SAFの生産が予定されています。製品は持続可能な製品の認証制度である「ISCC CORSIA認証」および「ISCC EU認証」を取得しており、その信頼性が高められています。
共同事業者との連携
このSAFは、コスモ石油グループ、日揮ホールディングス、レボインターナショナルの3社が設立した合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYによって製造されます。そして、2025年度よりコスモエネルギーグループを通じてエバー航空に供給される予定です。この取り組みは、持続可能な航空輸送を目指す一環として大きな意義を持っています。
脱炭素社会の実現へ向けた道筋
コスモエネルギーグループは「2050年カーボンネットゼロ」というビジョンを掲げており、SAFの供給を通じてサプライチェーンの構築を進めています。また、SAFの原料として廃食用油の再利用を促進するため、市民からの廃食用油の回収活用実験も展開されています。これにより、社会全体での脱炭素化への意識向上も促進されており、持続可能な社会の実現に向けた基盤を築いています。
各社の見解
コスモ石油マーケティングの髙山社長は、「SAFは当社にとっての重要な脱炭素商材であり、エバー航空やその利用者の脱炭素の取り組みに貢献できることを誇りに思います」と述べ、持続可能な社会の実現に向けた意気込みを明かしました。
また、SAFFAIRE SKY ENERGYの髙田代表者も、「2021年からの各種支援を受けて、国内資源循環の実現に向けた大きな成果を出すことができた」と感謝の意を示しました。
さらに、エバー航空のクレイ・ソン社長は「持続可能な開発は選択の問題ではなく責任である」と強調し、このSAF契約がネットゼロエミッションへの道を開くことを期待しています。彼は、SAFの導入を通じて航空サプライチェーン全体において変革と成長を促進させると述べました。
未来への展望
この新たな取り組みは、航空業界の脱炭素化を目指す重要なマイルストーンとなるでしょう。コスモ石油とエバー航空の協力により、持続可能な航空輸送への道が切り開かれていくことが期待されます。その成果は国内外の航空業界だけでなく、広く社会における持続可能な取り組みへと波及することが見込まれています。