学校トイレ環境改善が急務!自治体アンケート結果から見えてきた課題と未来
近年、学校のトイレ環境の改善は喫緊の課題となっています。老朽化や清掃・メンテナンスの不備により、子どもたちから「5K(臭い・汚い・暗い・怖い・壊れている)」と揶揄され、トイレの使用を我慢する子どもたちの存在も指摘されています。
学校は子どもたちの教育の場であると同時に、生活の場でもあります。特にトイレは、一日を通して学校で過ごす子どもたちにとって、健康面や生活面において重要な役割を担います。さらに、災害時には避難場所としての役割も担うため、地域住民にとっても安全で快適な環境整備が求められています。
このような状況の中、学校のトイレ研究会は、子どもたちや地域住民が安心して利用できる「学校のトイレづくり」を啓発するため、毎年自治体アンケート調査を実施しています。
2023年度アンケート調査結果:トイレ環境改善への強いニーズ
2023年度の調査では、全国1,787自治体の教育委員会を対象に、学校トイレの現状や課題に関するアンケートを実施しました。回答数は99(回答率5.5%)でした。
調査結果によると、新しい時代の学びを支える安全・安心な教育環境の実現のために「今後改善が必要」と回答された項目で上位にランクインしたのが、「老朽化対策」「バリアフリートイレの整備」「トイレの洋式化・乾式化」でした。
「老朽化対策」は85%
「バリアフリートイレの整備」は58%
「トイレの洋式化・乾式化」は57%
これらの結果から、老朽化対策と合わせて、トイレの機能性向上に対するニーズが非常に高いことがわかります。また、「スロープ・エレベーターの整備」「避難所としての防災機能強化」もそれぞれ56%、53%が回答し、インクルーシブ教育や災害対策への意識も高まっていることがうかがえます。
洋式化の進捗と課題
児童・生徒用トイレの洋式化については、「すべて洋式化」「おおむね洋式化」という回答の合計が90%を超えています。文部科学省の調査結果でも、全国の公立小中学校施設のトイレにおける洋便器の割合は68.3%と、前回の調査から11.3ポイント向上しており、洋式化の整備は着実に進んでいます。
しかし、バリアフリートイレの設置場所については、「校舎の1フロアのみ」が45%、「校舎の各階に設置」が18%、「体育館に設置」が26%と、複数箇所への設置はまだ少ないという結果になりました。
性的マイノリティや異性の支援が必要な児童への対応として、男女共用トイレの必要性については、「必要」「どちらかというと必要」が63%と、多くの自治体が共用トイレの必要性を認識していることがわかりました。
学校トイレ研究会:より良い学校トイレ環境の実現に向けて
学校のトイレ研究会は、トイレ関連6社によって設立された組織です。子どもたちが安全で快適なトイレ環境で過ごせるよう、様々な活動を展開しています。
主な活動内容は、以下の通りです。
自治体アンケート調査の実施:学校トイレの現状や課題を把握し、改善に向けた提言を行う。
研究誌の発行:最新事例や現場の声、専門家による論考などを掲載し、情報発信を行う。
会員企業との連携:トイレ関連企業との連携を通して、より良いトイレ環境の創造に取り組む。
学校のトイレ研究会では、今後も、自治体や学校関係者、トイレ関連企業などと連携し、子どもたちの未来を支える安全で快適な学校トイレ環境の実現を目指していきます。